130,000部発行
2018年10月5日
通巻第265号
年間郵送購読料3,000円
稲毛新聞
 発行責任者/佐藤 正成  発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
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保護費返還の女性が破産申請
だまされ放題の千葉市、生活保護の不正受給
 本紙7月号、8月号で報じた悪質な不正受給について、クラブ勤めや複数の男性からの援助を隠したばかりか、支給された家賃を払わずに転居し、転居費用も保護費から支払わせるなどした女性が、千葉地方裁判所から破産開始決定を受けていたことが分かった。免責されれば不正受給分の返還に関する千葉市との合意も効力がなくなるのではないかと、関係者は気をもんでいる。この女性は、合意の前提となる収入証明書も低く偽造したほか、複数の男性から支援を受けていることを隠していたばかりか、保護受給中にローンで高級車を購入していた事実も浮上しており、裁判所の判断に注目が集まっている。 【取材・武田弥太郎】

自己破産で追及をかわす狙いか
 個人情報保護の立場から市は詳細を明かさないが、この女性は勤めていたクラブからの給与があったとして不正を認め、クラブの女性経営者発行の収入証明書を提出して千葉市との間で分割弁済の合意書を取り交わしたが、この収入証明書はクラブ経営者が作成したものではなく、この女性が偽造したものであることが分かった。記載された内容をもとに合意が成立しているが、千葉市はまんまとだまされた格好だ。その返済も支給される保護費からねん出されるとなると、市民としては許しがたい感情が湧き上がってくる。
 この女性は保護費で支給された家賃の未払いもあり、退去間際には暴れて室内を損壊することを繰り返して損害賠償もしておらず、訴えられて敗訴しても判決を無視したままでいる。こうした中、この女性を新たに訴えた家主のもとに裁判所から「破産手続開始決定」の通知が届き、この不正受給の女性が破産と免責を受ける画策をしていることが分かった。
 自己破産の申し立てには、正の財産と負の財産や生活の状況について正確に記載する義務があるところ、この女性は申告すべきことをあえて記載しなかったり、事実に反する事情を多く記載しており、このままでは詐欺破産罪に問われる可能性すら出てきている。生活保護を受給しているのに高級車を購入し、露見して売却した収益は申告せず、支援者の会計事務所職員名義で車を取得し、現在も乗り回している事実は破産管財人も事情を把握し始めており、刑事事件に発展する可能性が出てきた。また、破産申立代理人となった東京の弁護士が、事情を知りながら十分な確認をせず破産申し立てを行った疑いも出てきており、弁護士の責任が追及される場面も出てきそうだ。裁判所の破産手続開始決定は出たものの、事情が極めて悪質である以上、免責が認められるか否かに重大な関心が移っている。
 生活保護受給者が車を保有することは、他人名義であっても認められていないが、それを承知で名義を貸しているのが千葉市でも有名な大手会計事務所職員である。この職員はこの女性の税務申告を含め数々の不正行為の相談に応じており、事案によっては積極的に加担している。不正受給の相談にのっていることも間違いないとみられているが、事実が明らかになっても、この大手会計事務所は、外部からの指摘に対し、現在のところ、何らかの対応をとるそぶりを見せていない。
 一方、この職員以外にこの女性との交友関係がある複数の男性のうち、ひとりは現役の指定暴力団の構成員であることが分かっている。彼らにしてみれば生活保護の不正受給は手慣れたものだ。
 厳正な対応が欠かせないのは当然だ。この女性は複数のクラブ勤めをしていたが、市に申告したのは一か所だけであり、申告したクラブについても女性経営者の善意につけこみ、収入申告書を偽造したうえ勝手に押印して市に提出した。
 生活保護に関する情報は強く保護され、一般に公開されることがない以上、外部が不正を察知して市に申告することは困難であることから、これまで発覚しなかったし、市がだまされていることもわからなかった。
 この女性から被害を受けた家主が続出したことから調査が始まり、悪質な不正受給が判明するに至った。この女性の不正は単に不正受給にとどまらず、数々の犯罪行為が繰り返されているから深刻だ。これだけの不正が積み重なっているのだから、積極的な調査権限がないとは言わず、毅然とした対処を求めたい。
 この女性の不正追及には、市長や副市長が直接関与する必要が出てきた。現場の職員にマニュアル以上の対応を求めることはできないから、陣頭指揮やトップダウンで真相解明に努めなければならない。
 千葉市民全体のため、幹部職員が立ち上がることを期待したい。

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防衛省が減給処分発表
本紙報道で発覚した自衛隊のいじめ
 本紙5月号、8月号で既報の自衛隊内部での部下に対するいじめ問題が決着した。
 横田基地に所属する自衛隊員が、前任地でのいじめを認定され、減給処分になったと防衛省が発表し、大手報道機関各社が取り上げた。
 処分を受けたのは横田基地に所属する1等空尉。前任地の岐阜県各務原市にある航空自衛隊岐阜基地で複数の部下の隊員に、侮辱的なあだ名をつけたり、「俺より給料高いくせに」などと暴言を吐いたばかりか、バインダーで頭部を叩くなどの暴行に及んでいたことが明らかになったことによる。
 発表では、「いじめの内部通報により岐阜基地でアンケート調査を実施して判明した」としているが、実態は被害自衛官から相談を受けた千葉市内の男性が航空自衛隊幕僚監部に連絡したのが始まりであり、本紙が二度報じて世間に明るみになったもので、内部通報によるものではない。
 また、千葉の男性に対し、いじめは解決したと、被害自衛官に虚偽の電話をかけさせてもみ消しを図った岐阜基地の当時の隊長は、先月中旬の定年退職前日に駆け込みで訓告処分となり、退職金が減額になったという。
 航空幕僚監部は岐阜基地に所属する全自衛官に対する2度のアンケート調査や、複数回にわたる聞き取り調査などを行ない、パワハラの実態を浮き上がらせるに至った。加害自衛官の岐阜基地から横田基地への異動も、処分の一環だという。
 自衛隊内部でのいじめやパワハラは相次いでおり、自殺者が出るケースも知られている。
 そんな中で、実態が判明して処分に至るのは少数だと言われている。
 本紙が報じなければ、調査も処分もなかったのではないかと考えると、そら恐ろしい気分になる一方で、自衛隊内部にいじめやパワハラが多発する土壌があるとすれば、根本的な対応策が求められよう。
 外部の者には中をうかがい知ることはできないが、いざというとき私たちの命を託すことになる自衛官が、心おきなく日常業務に邁進できるよう、勤務環境の整備にはこれまで以上に努めてもらいたいと、切に願うばかりだ。

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小田求元千葉市議、不起訴
心神喪失で鑑定入院へ

小田求元市議
 稲毛区の居酒屋で、自身の誕生日に家族に切りつけ、姪の幼稚園児を殺害し、妹夫婦に重傷を負わせたりなどした小田求元千葉市議(46)について、千葉地検はこのほど、「心神喪失で刑事責任は問えない」として、不起訴処分とした。地検は同時に千葉地裁に対し心神喪失者等医療観察法に基づく鑑定入院の申し立てを行い、地裁がこれを認めたことから、小田元市議は一定期間鑑定入院させられ、入院の継続か在宅での通院かの判断が下されることになった。
 正式名「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」の規程によれば、重大な他害行為を行った心神喪失者で不起訴か無罪が確定した者について、鑑定を行う医療機関に入院させ、裁判官と精神保健審判員(特別の資格を持った医師)が、処遇を判断し、保護観察所の社会復帰調整官が生活環境の調整を実施する。
 入院の継続ではなく、通院による医療継続や退院が許可された場合であっても、3年間は厚生労働大臣が指定する医療機関への通院が義務付けられ、保護観察所の監督下に置かれることになる。
 議員時代から指摘されていた様子のおかしさは、心神喪失のレベルが、殺人を犯したのに地検が不起訴を選択するほどにまで高まった。6年間の議員在籍中にも実父を棒で殴って行方不明となり、のちに逮捕される事件があったが、そのころから今回の事件の前兆が見られたのだろう。
 次の選挙には立候補しなかったが、議員を終えた後に、悲惨な結末を招くことになった。
 市民の間からは、人を害する犯罪を繰り返していることや今回の事件が重大であることなどから、刑務所に入れられないのなら、ずっと入院させるなど社会から隔離してほしいとの声が上がっているが、法の定めに従って、厳しく処遇されることを見守るしかない。

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