155,000部発行
2006年6月7日
通巻第117号
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稲毛新聞
 発行責任者/佐藤 正成  発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
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主張 市民生活の向上とは何か
宮野木町・藤 本   豊
千葉市は第2次5カ年計画に4058億円超を投入する。第1次は6289億円だったから、大幅に縮小・後退した。
 この計画は「市民生活の質的な向上」に資するものだという。そして「緑と水辺に恵まれた多自然都市を創る」「地球と共に生きる循環型都市を創る」「都市の機能と表情を豊かにする」「様々な交流から新しい文化を創造する」「躍動し、賑わいを生む産業を展開する」「参加と協同の社会を創る」など、空疎なお題目が並ぶ。
 「緑と水辺に恵まれた多自然都市を創る」とは、公園を造ったり、川や海辺の修復や浄化だという。
 それはまあいいとして「都市の機能と表情を豊かにする」とは、15階や20階のオフィスビルを何棟も建てることだという。総じて市民生活の向上とは無縁の、億単位の土木事業のオンパレードだ。そこに4千億円も投入することは、借金が積みあがるだけだ。
 税収がたっぷりあるならともかく、今後の5年を考えると、増税や医療の介護や年金など、社会保障の改悪が家計を直撃。預金利息ゼロもまだ続く。
 さらに少子高齢化やリストラ、雇用不安、非正規社員増による超低賃金化で、市民の消費力は激減し、景気は逆落とし、貧困化が進む。介護難民も出る。
 国の借金も1千70兆円超、地方自治体への交付金などは減る一方だ。国債暴落、国や自治体の財政破綻、ハイパーインフレなどが巷間論じられているご時世に「夢と希望」の持てる大都市として、持続的な発展を期する計画だと言うが、無謀な浪費としか思えない。
 地方分権で権限と財源が委譲されても、こんな使い方では「市民生活の質的向上」など夢想の世界の話だ。 生活の向上とは、増税や医療、福祉改悪や市民税引上げなどで家計が圧迫されず、治安よく、雇用不安なく、深夜勤務で過労死なく、夕飯は家族一緒に、保育所や老人ホームへは何カ月とか何年も待たずに少ない費用で入れる。
 年金や介護など老後の不安なく、病気になったら安心して医療にかかれる。子供は元気よく安心して通学できる。そういうことではないのか。
市の行政としてはゴミの収集、保育や消防、校舎や道路の補修、医療保険や介護、下水道の維持管理などを、しっかりやってもらえればそれでいい。大きな借金をして行う、このような『計画』が市民生活向上に資することは何もない。
 赤字まみれ≠ナ確たる資金の裏付けもないのに、こういう計画を立てること自体が、無理で無謀で無益な行政である。行政能力の貧困以外の何ものでもない。

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