130,000部発行
2019年5月10日
通巻第272号
年間郵送購読料3,000円
稲毛新聞
 発行責任者/佐藤 正成  発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
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論壇 平重盛・源頼朝の絵は足利尊氏・直義
成田市 上田 真弓
 1月10日の産経新聞「本郷和人の日本史ナナメ読み」に「伝・平重盛像」が載っていたが、私はこの絵は足利尊氏だと確信している。平重盛は平清盛の長男で、清盛が隠居した後に平家を率いた。非常に優れた人物で、父の清盛の横暴で独断的な言動を「そんなことをしたら人々の心が離れてしまいます」と諫めて抑えた。長生きしていれば平家はもっと長く繁栄したかもしれないと言われるほどの人物だが、若くして病気で亡くなった。
 私は若い頃に吉川英治の『新平家物語』を読んで感動して、源氏と平家ゆかりの地を訪ね歩いた。京都・高雄の神護寺には有名な源頼朝の絵があるので、一般公開された時に見に行った。源頼朝像と共に、後白河法皇の絵を挟んでこの平重盛像が畳の部屋に並べて展示されていた。
 源頼朝の絵は教科書や歴史の本や歴史番組によく登場するので有名だが、平重盛の絵も頼朝と同じ黒い装束で同じように座っており、顔が違うだけでそっくりだ。
 源氏と平家の戦いには後白河法皇が大きく関わっているので、この三枚の絵が並んで展示されていたのは平家物語を意識したものだろう。私は三枚の絵の前に座って源頼朝と平重盛の絵を見比べ、さすが国宝の絵だと感激しながら長い時間見入ったが、なぜ敵対する源氏と平家の棟梁が同じ人によって描かれて奉納されたのか疑問に思った。その後、源義経の絵だとはっきりしている絵と比べてみても、同じ源義朝を父とする兄弟とは思えない顔をしているので、これは頼朝とは別の人物ではないかと思うようになった。
 それから二十数年経ってから、それが実は足利直義(ただよし)で、平重盛と言われている絵は兄の足利尊氏だという説が出て、間違いないと思った。 なぜなら吉川英治の『私本太平記』に描かれている足利尊氏・直義兄弟の性格にぴったりの顔をしているからだ。平成24年にこの説を主張する黒田日出男氏が詳しい調査結果をまとめて『国宝神護寺三像とは何か』を出版した。実はもうひとつ同じような肖像画があり、その顔が尊氏の息子で二代将軍の足利義詮(よしあきら)の木像とそっくりなので、この三像は足利尊氏・直義・義詮だとする決め手ともなった。
 私は長年抱いていた疑問が解けてすっきりしたが、この説は一般には広まっておらず、依然として源頼朝の絵として教科書などに載っている。最近は「伝」という一文字を付けて「伝・源頼朝像」「伝・平重盛像」になったが、これらは室町幕府をつくった足利尊氏が弟の直義と息子の義詮と共に、足利家の繁栄を願って同じ人に描かせて奉納した絵に間違いない。教科書の記述が早く変わることを願っている。

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