150,000部発行
2017年3月3日
通巻第246号
年間郵送購読料3,000円
稲毛新聞
 発行責任者/佐藤 正成  発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
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論壇 台湾の南端の潮音寺
成田市 上田 真弓
 台湾の南のバシー海峡を望む猫鼻頭(びょうびとう)に潮音寺というお寺がある。私は2007年にここを訪れた。
 案内してくれたのは昨年11月号で紹介した元日本兵の許昭栄さんと、1月号で紹介した阮みすさんだ。私がメンバーを募って台湾ツアーを企画して事前に電話で阮みすさんと打ち合わせた時、「台北でお会いした後、高雄に行って許昭栄さんという方に初めてお会いします」と話すと、阮さんは「よく知っている方です。私もご一緒します」と言って同行してくれ、高雄で泊まる安いホテルを手配してくれるなど、とてもよくお世話してくれた。
 高雄の新幹線の駅で許昭栄さんにお会いし、その日は許昭栄さんが造営中の「戦争と平和記念公園」を案内してもらい、翌日、潮音寺まで案内していただいた。
 戦時中、バシー海峡では多くの日本人がアメリカ軍の攻撃によって船を沈められて亡くなった。
 その中には当時同じ日本国民であった台湾人と朝鮮人もいた。この海岸にはたくさんの遺体が流れ着いたそうだ。バシー海峡を十二日間も漂流した末に奇跡的に助かった日本人の中嶋秀次さんが、多くの死体が流れ着いたこの海岸に、慰霊のために私財を投じてこの潮音寺を建てた。そして許昭栄さんたち地元の台湾人が、お寺の管理をしていた。
ノンフィクション作家の門田隆将さんが2014年に出版した『慟哭の海峡』で、この潮音寺のことを詳しく書いてくれたので、ぜひ読んでほしい。
 この本では戦時中にバシー海峡で十万人以上の日本人が戦死したと書かれているが、許昭栄さんは約二十万人と言っていた。それほど多くの日本人が亡くなったのだ。
 許昭栄さんが「日本政府も台湾政府も無関心で何もしてくれません。私たち元日本兵の台湾人が中心になって、ここで慰霊を続けているのです」と言って嘆いておられたことが、きのうのことのように思い出される。
 ほとんどの日本人は、その事実を知らない。
 潮音寺を建てた中嶋秀次さんは2013年に亡くなった。潮音寺は現地の台湾の方々によって管理されているが、人は住んでおらず、以前泥棒に入られたこともあって普段は鍵が掛かっており、入るには管理者に鍵を開けてもらう必要がある。旅行会社がツアーのコースに入れるなどして、ぜひ多くの日本人が訪れて潮音寺の維持に協力してほしいと願う。
 許昭栄さんはお会いした翌年の2008年に衝撃的な自決で亡くなり、阮みすさんは2016年11月に亡くなった。
 阮みすさんが潮音寺で床に膝をついてお祈りしていた姿が忘れられない。

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