2月27日(日)、四街道市の四街道文化センターで社団法人・倫理研究所(丸山敏秋理事長)主催による第15回倫理研究フォーラムin千葉」「よみがえるか、家庭〜揺らぐ家族の蘇生に向けて〜」と題した発表会に約1200人が出席、熱心に聞き入った。
倫理研究所研究局資料部長伊勢田豊さんの主催者挨拶のあと、3人の講師による発表があった。
有坂宏一研究員の話
倫理研究所では、時代に合った生きた実践道≠示すために人としてより良く生きるための筋道の探究や社会問題の解明などの活動を行っている。研究部には1.プロジェクト研究2.個別研究3.実証的研究がある。実証的研究は、会員の倫理体験情報による実験実証から一つ一つを引出し、生活の筋道(生活法則)として打ち出したもの。実証的研究を推進するために会員の体験情報で顕著な倫理体験が見られるものは細密調査≠実施。家庭や職場、会社経営、地域社会、健康問題など、生活の規範の研究を促進するために情報収集に力を入れ、1990年から2003年の間にも子育てや家族、社会生活、経営など総計5373件の倫理体験情報を得て結果は、セミナーや月刊誌などで発表をしている。様々な問題が山積している現代、倫理研究所はあらゆる問題に対してより良い方向性を示せるように今後も調査活動を推進していきたい」と述べた。
世代間連鎖を断つ気づき≠フ重要性(御所園健一研究員)
「親に抱いてもらえなかった子どもは自分の子どもを抱けない。なぐられて育った子どもは自分の子どもをなぐる。過保護で育った子どもは自分の子どもを過保護にする。というように、親からしつけられた通りに子どもを育てることになり、親から引継いだものを変えるのは難しい。この世代間連鎖≠ヘ子や孫になるほど傾向がより強く現れる。自分自身で身に付けたものは変えられるが、変えられないものは世代間連鎖だ。いい子・親思いの子≠ニは親のしつけ・教育・願いに素直な子どもだがいい子≠ニ言われる子どもが危ない。真の素直≠ニは自分に素直≠ニ親に素直≠バランス良くコントロールできる状態のことであり、親に素直だけでは片手落ち。親にとって都合が良い子どもは、自分の思いを表現できず、親に反発できず、不満が怒りに変わり、14〜15歳で引きこもりになったり爆発をして突然変身する。また、親が子どものしつけのためと思って行う暴力は子どもに対する支配だ。連鎖を断ち切るためには、思い出したくない過去や親子関係をもう一度思い出し、未熟な心で結論を出した自分に気づき、気づいた時から次のステップが見えてきて解放されることになり、自分はこのままの自分で良いのだ∞私の子どもはそのままで私の宝物だ≠ニいう真実に気づく」と語った。
家族崩壊が増えている
このあと、静岡県富士市から出席した主婦の秋山富美子さんが、親からの虐待や自分の子どもの非行など、自身の厳しく困難な人生を倫理研究所の先生や先輩たちの助言で立ち直り、自分に自信を持つことができるようになるまでの体験談を語り拍手を浴びた。
田中範孝氏の講演
最後に、倫理研究局長田中範孝氏が「よみがえるか、家庭〜いのちはいつもつながっている〜」と題して講演を行った。
「今、親になりきれない親が増えているが、この状態は家族の崩壊であり機能不全家族≠ニも呼ぶ。こういう社会の中で、子どもたちの悲痛な叫びが隠れている。子どもが本当に求めていることは何かを見抜く必要がある。東洋大学の中里至正教授が日本・米国・中国・韓国を含む世界7カ国の中高生6000人を対象に、親に対する親近感・信頼感に関する調査を行ったが、米国と中国の中高生は70%以上、韓国の中高生は50%ぐらい父母に対する信頼感を持っているのに対し、日本の中高生は母親に対しては21%、父親に対しては10%しか信頼感を持っていないという結果だった。子どもが求めているものは、物ではなく、親と子の魂と魂のふれあいなのだ。また、むすび≠ニは合一することで、相反する性格を持つ二つ以上の要因が出会い、つながって、新たな状態を生み出すという意味。むすび≠ェ崩壊の危機を救う。女性と男性は同権であり、夫婦の関係はフィフティフィフティだ。対等な夫婦の心の一致がパワーを生み出す。むすび≠フポイントは相手を鏡にして自己を振り返ること。例えば、教師が子どもの視点で自分を見つめ直した時、教師としてやるべき事が見えてくる。そして、人は自己肯定をしてこそ輝く。自分は愛されている・自分には生きる価値がある≠ニ自己肯定をすることで一歩を進めることができ、自分らしく生きることができる」と語った。
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