発行日/2022年8月5日
発行責任者/佐藤 節子
発行部数/116,500部
年間郵送購読料/3,000円
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櫻井俊雄物語(26)
随想 島津幸生
随筆 吉成庸子
短編小説 吉成庸子
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要人警護の実態と問題点
野田元総理のSPが語る治安大国としての不安
去る7月8日の日中、奈良県の近鉄大和西大寺駅前で、自由民主党の安倍晋三元総理が宗教団体に恨みを持つ男から銃撃され亡くなるという痛ましい事件が発生した。投票日の前々日に起きたこの事件は、参院選の行方に少なからず影響を与えたというのが選挙関係者の見方になっている。 (取材 今村敏昭)
男は手製の銃で安倍元総理の至近距離から銃撃され、警護のあり方に問題があったと厳しく指摘する声は多い。どんな不祥事があってもトップが非を認めることはないのが警察の常であるのに、捜査も検証も終わる前から奈良県警本部長自ら警護体制に問題があったことを認めている。これは「世界一治安のよい国、日本」の威信を揺るがす大事件となった。9月27日に日本武道館で行われる国葬には海外から多数の弔問を受けることが確実で、はからずも安倍氏の死去で日本を舞台に弔問外交が繰り広げられることになる。
目まぐるしく変わる報道の視点
事件をめぐる報道は目まぐるしく変遷している。安倍元総理銃撃の第一報には大多数の人が大きな衝撃を受けた。そして識者・関係者のコメントは「民主主義への重大な挑戦」で一致していた。
ところが、男が安倍元総理を襲った理由が政治的問題でないことがわかると、それが「宗教団体はどこだ」に変わり、警察が情報を隠匿しているとの批判に変わった。
そして、宗教団体が旧統一教会であることがわかると、旧統一教会の不適正な献金の在り方がクローズアップされるようになり、関係する政治家の情報が連日報道されるようになった。報道は、衝撃的な銃撃事件そのものより、旧統一教会の金集めの実態に対する批判にスライドしていっている。
一方、政府が国葬を決めると一斉に反対の声が上がってくるなど、国政は混乱している。安倍元総理が歴代最長在位期間であることやその功績を考慮すると国葬がふさわしいとの意見がある一方で、総理在任中の安倍氏を追求していた勢力からは国民の信任を得られないことを理由に国葬に反対する見解が示されている。海外から多くの弔問者の来日が見込まれること自体が安倍元総理の国際的評価であって、それこそが国葬にすべきであると根拠だとする声に対し、国葬にするにしても閣議決定で決めるのではなく、国会の審議を経るべきだとする声など、各界様々な対応が見られる。
SPの覚悟と油断
党首クラスの要人が街頭演説する際の街宣車の屋根上や上部看板の内側には、警察が事前に防弾シートを貼ることは知られていない。要人と一緒に立つ進行役の地方議員によれば、SPから「何かあったときはあなたも有無を言わさずいきなりなぎ倒します」と事前に言われたことがあり、厳重な警備体制がとられていることを実感させられたらしい。制服警官を配置して襲撃を断念させるいわゆる「見せる警護」のほか、聴衆の中に私服で紛れ込んで気づかれないように不審者の周りを取り囲む警護もある。これら警護担当者は常に薄っぺらい鞄を持っているが、これには防弾シートが入っていることは今回の事件で衆目の事実となった。
千葉県選出の野田元総理が退任し2年以上経過した後、県内のある士業団体の会合に出席した際の警護のSPに対する取材によれば、「総理退任後も3年程度は警護を続ける。総理退任後に襲われるようなことがあると、世界中に日本警察の失態をさらすことになるからだ」との警察内部の事情を答えてくれている。警護期間が終了したある要人は「やっとコンビニにいける。何時何分にトイレに行ったまで記録される監視状態から解放された」と冗談半分に語ったが、それほどしっかりした警護を受けていたことを表している。
安倍元総理を守ることはできなかったとはいえ、いざというとき、身を挺して要人を守る覚悟で任務に就いていることには敬意を表するしかない。事件現場でも同じ覚悟であったであろうことは疑う余地がない。だからこそ、男の接近をやすやすと許してしまったことが残念でならない。国の内外の警護の専門家から、隙だらけの警護であったとの指摘が多数寄せられているが、銃規制の厳しい我が国において、手製の銃による襲撃を予想しなかったか、あるはずがないという潜在意識が事件を許した要因だとしたら、数十年にわたって全国各地で積み上げてきた日本警察の無数の努力がいっぺんに崩れたようで、どうにもやるせない気持ちになる。
●ある市議の話
「党代表が千葉駅東口で街頭演説したとき、大型の街宣車の上で準備していたところ、
3人のSPが上がってきました。荷物を開いて街宣車の屋根上の立つところの床の部分と、周囲を囲む看板の内側にびっしり何かを張り巡らせました。銃撃を受けた時のための防弾シートだそうです。襲撃はないとは思いますが、万一の時は1秒遅れることで命を左右するから、その時は車上の全員をいきなりなぎ倒します。多少の怪我をさせることがあっても、命を優先しますと言われました。えっ!と思いましたが、これが本物の警護なんだと感動したことを覚えています」。
●あるSPの話
「元総理をいつまで警護するかは、警察の上の人たちが決めます。ご本人の要望もありますが、総理退任後の襲撃を許すと、海外に対し日本警察の汚点となり、治安のよい国の看板に傷がつきます。事件はめったに起こりませんが、いつ起こるかもわかりません。だから、常に警護する必要があります。現職総理であれば物々しい警護体制をとりますが、退任されて時間の経過とともにソフトな警護にシフトしていくのが一般的です」。
9月には安倍元総理の国葬が予定されている。海外から多くの要人が来日し日本警察の威信がかかった未曽有の警備体制がとられるだろう。無事に国葬が執り行われることを願ってやまない。安倍元総理のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に謹んでお悔やみを申し上げます。
発見!チバカツカンパニー 千葉の活躍企業訪問記
ホープウィル株式会社
河野葉子さん
ミャンマー人技能実習生送り出し機関。ミャンマーで約20年にわたり信頼を得てきた学習塾や日本語学校を母体に設立された。日本企業のニーズに即した人材育成が評価され、介護職を中心として幅広い業界に優秀なミャンマー人の実習生を送り出している。
今回、小誌編集部記者・稲しん子がお目にかかったのは、ミャンマーで日本向けの人材派遣事業を展開している「ホープウィル」のアドバイザー・河野葉子さん。なぜミャンマーだったのか、人材を送り出すために何を気をつけているのか、今後の展望は・・・など、さまざまな興味深いお話を伺ってきました。
千葉は私の地元。今後はここを拠点に根を広げていきたいと思っています
ホテルに勤めた経験を旅行業や人材派遣業に活かしています
稲しん子(以下・稲)
ミャンマーで実習生送り出し機関の「ホープウィル」を立ち上げた理由は何だったのでしょう?
河野さん(以下・河)
もともとアジア地域に対して強い憧れがありました。いったんはホテル業界に就職し、バリ島にオープンしたホテルに赴任したことで、さらに「やはりアジアだ」との思いが強まりました。ホテルを辞めて起業しようというとき、
ベトナムかミャンマーかという選択肢があったのですけれど、
直感でミャンマーに決めました。
稲
直感に従って正しかったわけですね。「ホープウィル」はその時からですか?
河
その前に、まず旅行代理店を立ち上げました。次に始めたのが教育業。ミャンマー人の夫との間に生まれた子をインターナショナルスクールに入れたかったのですが、当時は学費が高くて払えなくて。それなら自分で作ってしまえと、塾と日本語学校を設立しました。旅行代理店も教育業も、ホテルで働いた経験を通して、サービスの本質を理解していますから、それが役に立っています。
ミャンマー人は日本文化や介護の仕事との親和性が高いんです
稲
日本に来ている実習生は、どのような業界で働いているのですか?
河
介護職が多いですね。介護業界は日本語検定の3級取得が受け入れ条件なのですけれど、うちはグループ内に日本語学校もあるのできちんと3級を取らせて送り出せるから、介護業界の求人に応えられるのです。それに、介護の仕事はミャンマー人に向いているんですよ。
稲
どうしてですか?
河
国民性として、人柄が優しい。熱心な仏教徒の国なんですけれど、人に何かをしてあげることで自分に功徳が積めるという考え方をする。介護の仕事はまさに功徳を積む行いですよね。だからミャンマー人には合っています。
細かい部分に配慮できて、気が利くんですよ。
稲
日本企業に紹介する人材って、それなりに優秀さが必要そうですが、人集めは大変ではありませんか?
河
立ち上げたときは知人に頼って人集めをしましたけれど、実習生が100人を超えたあたりから、募集しなくても口コミで集まるようになりました。昨年のクーデターを機にその傾向がさらに強まり、定員に対して3倍くらい集まるようになりました。なので、最初にスクリーニングというか、日本文化に馴染める性格なのかどうか、一種の適性テストを実施して選抜しています。
稲
日本に合う性格といいますと、具体的には?
河
大事な柱が二つあって、一つは協調性があるかどうか。日本人の常識からはみ出すような主張の強い子は合いません。自己主張ができない国民性なので事例としてはほとんどありませんけれど。もう一つは異文化を受け入れる資質があるかどうかです。といっても、やたら日本を絶対視するような極端な思い込みのある子は避けます。そのような子は日本に来ても我慢ばかりして楽しめない可能性があるので。自国文化と異国文化をバランスよく受け入れられることが大切です。
受け入れ先企業の特性に合わせた教育を施し送り出しています
「ミャンマー人は人を喜ばせるのが好きな国民性なんです」(河野さん)
稲
オーダーメイドで人材を育成していらっしゃるとのことですが、これは例えば介護業界なら介護業界向けの教育を施しているということですか?
河
そうです。送り出し機関は日本語教育に時間を割くものなんですけれど、ホープウィルの場合は日本語の勉強だけでなく、仕事に役立つ知識を身に付ける時間も重視しています。その部分がオーダーメイドで、中心になるのは語彙ですね。
稲
いわゆる業界用語とか、仕事の現場で使われる言葉を学ぶなど、実際に即した育成をしているんですね。介護以外に、どのような業界の受け入れ先が?
河
食品加工、建設、物流関係など、色々ですね。コロナ禍の間は止まっていた宿泊業界も受け入れが始まっています。先ほどお話ししたミャンマー人の気質は宿泊業にも向いているんですよ。お客同士の会話を邪魔しないよう給仕したりするのが上手なんです。
稲
千葉県内ではどのような状況でしょう?
河
私が福岡市とちょっとした繋がりを持っている関係で、現状として受け入れ先は九州が多いのですけれど、千葉県内では、四街道市の障害者施設(社会福祉法人翠昂会 障害者支援施設「永幸苑」)に十数人の実習生を受け入れてもらっています。今後は千葉で受け入れ先の輪を徐々に広げていき、事業の中心にしていきたいと思っています。千葉は私の地元ですから、何かあったときのフォローがしやすいので。
稲
その輪が千葉市内にも広がるといいですね。
河
これから頑張ります。27年間ミャンマーに住んでいたんですけれど、コロナ禍の影響で1年間日本にいることになって感じたのは、自分は日本にいて実習生のフォローに回る方が役に立つのかなと。向こうで私の指示が必要になった場合でも、いまはオンラインで何でもできるようになったでしょう? それもあって、拠点を地元の千葉に移そうかと考えています。
稲
それはきっと千葉の人にとっても嬉しいと思います。今日はありがとうございました。
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