116,500部発行
2022年6月3日
通巻第309号
年間郵送購読料3,000円
稲毛新聞
 発行責任者/佐藤 節子  発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
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山口県阿武町の誤送金事件
裁判で真相解明は期待できず
 山口県阿武町が田口翔容疑者に4630万円を誤送金した事件で、町長が裁判で真相を解明したいと再三述べているが、法律の専門家の間では、民事訴訟での解明は困難ではないかとの見方が支配的だ。
 証拠を集めて田口容疑者を訴えることになるが、追及できるだけの材料を収集できるか、困難が予想される。金融機関の守秘義務の壁は大きく、弁護士が照会したからと簡単に個人情報が開示されることはできないからだ。
 刑事事件として捜査機関が動かない限り、この壁を乗り越えることはできなかったところ、世論の動きに応じた山口県警の捜査の動きが金融機関の判断に影響を与えたことが契機になり、捜査の対象になることを避けるために先手を打って阿武町に返金したことで、誤送金した4630万円の9割が戻ったというのが実情だ。これから様々な手続きを経て、いずれ正式に阿武町に返還される運びとなる見込みだ。
 ただ、返金されてしまうと、阿武町が真相解明することはできなくなるのではないかと危惧されている。民事訴訟では、回収ができればそれ以上の追及はできない仕組みだからだ。

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東京地裁、佐川証人尋問せず
 森友学園への国有地売却を巡って、当時の佐川理財局長の指示で公文書改ざんを行なったことを苦にして自殺した近畿財務局職員だった赤木俊夫さんの妻が真相解明のために提訴した裁判で、大阪地方裁判所は赤木さんの妻が申請した佐川元理財局長や当時の財務省職員らの証人尋問を、いずれも行なわないことに決定した。
 これまで国は、佐川元理財局長からの公文書改ざん指示はなかったとしているが、赤木さんの妻は、赤木さんが残した文書などから佐川元理財局長の改ざん指示があったのは明白だとして、証人尋問の中で改ざん指示の事実を明らかにしたいと願っていたが、裁判所はこれを受け入れなかったことになる。
 裁判は佐川元理財局長に損害賠償を求めるものであったが、証人尋問以外の証拠で判断できるから、証人尋問の必要はないというのが裁判所の考えだ。切実な思いで真相解明を期待している人々にとっては酷な裁判だとしか言いようがないかもしれない。

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アフターコロナのノーマスク
深刻差別の被害続々
 入国禁止、時短営業、営業自粛、県をまたいでの移動自粛など、多くの禁欲生活が解除され始めている。
 コロナに対する得体のしれない恐怖感も薄れてきており、志村けんさんが亡くなった時の衝撃も、医療機関の現場が崩壊寸前だった危機も、いつの間にか忘れられ始めている。政府が海外からの観光客の受け入れを再開する方針を固めたが、観光客にも「マスク着用」の徹底を求めるとしていることに対し、マスク着用が厳格でない海外の関係者からは、日本の厳しい「マスク着用」要請に、疑問の声が出始めている。

白い目で見られる「ノーマスク」
 海外では日本ほどマスク着用に厳格ではないところが多いから、日本観光に訪れる人々の中には窮屈さを訴える人は多いが、日本ではコロナに対する恐れがなくなったわけではないから、ノーマスクに対する抵抗感は依然として大きい。マスク着用は習慣化しているから、周囲にノーマスクの人がいると自然と警戒してしまう。その一方で、飲食店では隣席の人がマスクを外してもなんとも思わないし、「黙食」の掲示がある前で会話が大声であっても、特に違和感がないのは不思議だ。
 そんな中で、深刻な事態が発生している。皮膚や呼吸器の疾患により、マスク着用が困難な高校生が退学に追い込まれた。他の子供たちへの万一の感染を避けるために、ノーマスクだからと一人だけ別室に連れていかれたことで校内での孤立化を招き、いたたまれなくなって退学した。 教育の現場の困惑が十分理解できる反面、下校時にファーストフード店で飲食しながら大声で談笑している高校生たちを目にすると、退学した生徒には理不尽な仕打ちだと感じられて仕方がない。
 スーパーでノーマスクの人が触った商品を次に手にする気は起きない。店長に話を聞くと、実際に来客から、「ノーマスク客は退店させろ」とか「ノーマスク客が触った商品を店頭から下げろ」といった苦情まであるという。
 飲食店の厨房は大変だ。暑さと息苦しさをしのぐために一時マスクをはずすことがあるが、それをたまたま見かけた来客から「店員がマスクをしていない」と、きついお叱りを受けたことがあるともいう。
モンスタークレーマーだというわけでもないから対応に難儀するという。
 バスや電車の中でせき込む人がいると避けたくなるのは人情だが、花粉症や喘息を持つ人にとってはつらい車中となる。

求められる行政対応
 「ノーマスク解禁」も政府が指針を示すしかない。「そろそろはずしていいよ」と発表するしかない。その時期は有識者会議の判断に任せよう。そして、ノーマスクへの差別をなくすための啓発が欠かせない。
 全国の自治体の中には、ノーマスクへの嫌悪感を抱く人がいることを前提に、広報紙やホームページなどで差別の深刻な具体例を示したうえで冷静な対応を求めたり、距離を保つだけで十分な感染防止対策が取れることなどを説明して、コロナだけではなく、住民を不安といわれのない差別からも守ろうと努力しているところもある。
 千葉市の場合は、感染防止対策は細かく啓発が行われているが、どの媒体を探しても、アフターコロナに向けての「ノーマスク差別対策」は不十分に感じられる。これから始まる「アフターコロナ」の欠かせない対策として、ぜひ「ノーマスク差別対策」に取り組んでもらいたいと思う。

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証拠で判断するだけの裁判所
 裁判に真相解明を求める声は多いが、現実の裁判では必ずしも真相が明かされるわけではないことに注意しなければならない。裁判所は真相を解明しようとはせず、提出された証拠に基づいてどちらを勝たせるか判断するだけであることはあまり知られていない。
 千葉地方裁判所で行われた貸金請求裁判では、返済の繰り延べを求めていた男に女性が訴えを起こし、借用書をとっていなかった女性が男に送金した際の伝票を証拠として提出したところ、男はもらった金だと強弁したため、裁判所は「心証としては貸金だろうとは思われるものの、伝票だけでは送金の事実は認められても、貸した事実までは認められない」として、女性の主張を退けた事例もある。せめて、返済繰り延べを要請する男の声でも録音していればよかったものの、良心的な女性は男に裏切られることなど考えてもいなかったという。
 何かあったとき、私たちは「弁護士を依頼して裁判に持ち込めば真実が明かされる」と考えがちであるが、そうはいかない現実の壁がある。
裁判沙汰を抱えることはめったにないことだとしても、日常の生活の中で証拠を残しておく心がけはしておいたほうが身を守る手段であることは間違いがないようだ。

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