130,000部発行
2021年10月1日
通巻第301号
年間郵送購読料3,000円
発行責任者/佐藤 節子
発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
編集部のつぶやき
櫻井俊雄物語(16)
随想 島津幸生
随筆 吉成庸子
短編小説 吉成庸子
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今月の人
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編集部のつぶやき
コロナ禍で苦戦する飲食店を、カラオケ配信会社がさらに困らせているとの訴えがあった。
中央区で高齢のカラオケ愛好家を対象に細々と営んでいる「昼カラ」のお店がある。元々、利益が上がっているわけでもなかったところ、近所の愛好家のためにと、ぎりぎりのところで経営を続ける努力を重ねてきた。
コロナで真っ先にやり玉に挙がったものの中にカラオケがあった。御多分に漏れず営業を自粛せざるをえなくなったという。ところが、カラオケ配信業者との契約では、「閉店」か「廃業」でないと解約できず、「休業」や「自粛」では契約を止められないことになっており、ひと月に1曲も使用しなくても数万円の料金を払わされている。「店をやめなければ解約に応じない」という取り決めは独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」であるが、業界最大手のこのカラオケ配信会社は苦情にもどこ吹く風で知らん顔だ。いつの世も末端でがんばる弱者だけが苦しめられている。契約を盾に強硬に出るのは弱い者いじめではないか。一泡吹かせたいと思う。 (今)
随想 映画・演劇のおもいで
鎌ケ谷市・元稲毛小校長 島津幸生
65年前近くにあった映画館(木場ミリオン座と言ったが今はない)の卒業祝い招待ということで6年生全員で観たのがウォルト・ディズニーの「砂漠は生きている」だった。その中の場面で花が開いていく様子に感激したおもい出がある。
中学時代だが演劇部に入っている。特に演劇に興味があった訳ではないが顧問で学習院大出身の男の国語の先生の人柄(貧しい時代、お菓子を食べさせてくれた)が好きだったのだ。
高校時代だったと思うが新聞の最後のページの下の方に映画広告が載っていた。当時優秀映画鑑賞会推薦と言うのがあり主に海外作品だったがあると気を付けていて見に行ったものだ。バス一本で築地や銀座に出ることが出来たのだ。少し料金は高いがたまのことだしそれなりのものがあった。今思えばちょっとした贅沢だった。映画の内容もそうだが、イスの感触がちがうのだ。「菩提樹」「ひまわり」「太陽がいっぱい」当時のソ連の戦争場面は圧巻だった。「ニュールンベルク裁判」の時だが寝てしまっている。
アメリカ映画で人種差別を扱った作品「別れ道」だが、若い白人夫婦が離婚し女のほうが娘を伴って黒人と再婚してのどかな生活を送っている。ある日元の夫が裁判所の娘の親権証を持って現れる。そしていやがる娘をつれて行くのだが子どもは泣いて母親に「お母さん私何かわるいことをした?」とうったえる場面はおもい出すと今でも涙がでるのだ。
新卒の時、当時学校の共済の補助があったからか、暮れの観劇が前進座の演目「肥後の石工」だった。用事で九州に行った時通潤橋を見たが芝居と異なりその大きさにびっくりした。前進座はその歴史が古く座歌が「からたちの花」と同じ北原白秋作詞、山田耕筰作曲で、昔好きだった俳優加東大介が座員だった。
打瀬小校長時代幹事の先生のおかげで歌舞伎やライオンキングを見に行くことができた。
コロナ禍であるが2年前に浅草公会堂で見た「残り者」(城あけわたし後の江戸城内)前進座は興味深かった。見た映画・芝居(宝塚・文楽も)はたくさんあるが、心に残る作品は少ないことに気づく。
短編小説 モノレールストーリー
月に願いを 作・吉成 庸子
夕焼け空の美しい日だった。明美はこの千葉市の少し外れにある書店の閉店時間に合わせて本の整理を始めていた。
この書店は古くからあるのでお客様も長い間通ってきてくださる方が多い。近頃本当に本屋さんが失くなってきている。だから従業員も少なく本店員は明美一人だけになってしまった。けっこう重労働もあるのでパートの中年男性が来てくれてはいるが…。
明美は山形から出て来てここで働き始めて5年余りの月日がたっている。店主が父親の知り合いなので、何も聞かずやとってくれたのだった。
住居は店の近くの1LDKのマンションだ。明美は現在三十五才だ。明美は、過去は全部捨てて生きている。山形で短大卒業後、地元の優良企業に入社、明るい日々を送っていた。突然社長の長男との縁談が持ち込まれた。周囲には何の反対もなく、あっという間に明美は嫁いだ。
高校時代好ましいと思っていたいわば初恋の人はいたが、その人は東京の大学へ行ってしまってからは、ほとんどつきあいもなかった。田舎町では明美はいわばシンデレラだった。
夫は優しく一年後には男の子も生まれた。経済的にも豊かだったので暇をもて余し、おしゃれや仲間の奥さん達とランチをゆっくりとったり、エステにいったりして時間をつぶした。なにしろ初孫が可愛くて仕方ない夫の両親はこの子はこの家の後継ぎだから「私達が責任もって育てますよ」と言ってベビーシッターまで雇い入れて、ほとんど自分の家に連れて行ってしまった。「これじゃ、よくないのじゃない?」
ある夜夫に聞くと「あんなに喜んでいるんだ。今から帝王学とやらを仕込んでいるなら悪い事じゃない。それに明美だって自由が出来ていいだろ。何なら、仲良しと外国旅行でも行って来たら」なんて言う。
夫の優しさ、豊かさに包まれ、わくわくした月日を過ごしていた明美をすごい衝撃がおそった。通いのお手伝いが帰った夕刻、一人の女の人が訪ねて来た。三十七〜八才に思えるその人はいきなり明美の夫の愛人だと名乗った。 「ご主人に聞いてごらんなさいよ。彼が入社した直後からの仲なんだもの。娘もいるの。もうこれ以上待てないからね」そう言い残した彼女が帰ってから、混乱する頭をなだめなだめ、夫に聞いた。本当だったのだ。 その日から明美は死んでしまった。本当に死のうとしたのだ。
全部を捨てて千葉へ来て書店で働いていたのだった。
博志との再会は神様のお恵みだったかもしれない。成績が良く清潔な感じのする博志にひかれ、二人は仲良しで休日隣街へ映画を観に行ったりしていた。ただし博志が東京の大学へ入学してからなんとなく音信が途絶えてしまっていたのだ。その博志が書店に現れた時わからなかった。ただレジで「明美さんじゃない?」と遠慮がちに声をかけられすぐにわかった。「博志さん、どうしてここへ?偶然?」と聞くと「偶然だよ。僕モノレールの千城台の近くにすんでいるのでこの本屋さん気になってたんだ」と言う。「あら私も千城台よ。しかもモノレールのおなじ側なの」。明美は自分でも声がはずんでいるのがわかる。
二人のやりとりを聞いていた店主の女房が出て来て、「お客さん、もう今日は店閉めだ。二人一緒に帰ってつもる話でもするといいわ。この子がね家に勤めてからこんな明るい声出したの初めてなんだよ。どっかでごちそうしてやってよ」とおせっかいを言う。「わかりました。明美ちゃん、じゃ僕につきあって下さい」と頭を下げた博志について店を出た。
二人は千葉駅近くの落ち着いたレストランで向かい合わせて座る頃には、なぜか空白の時間が消えていた。明美は自分の心が澄んでいくのが感じられる。「あのねえ、噂で少しは知っているでしょ。私離婚してあの家出てから半分死んでるみたいな生き方してたの。親にも誰にも会わずたった一人で生きてきた」「そう、大変だったろうなあ。だけど人間生きてるってことはいろんな事があって当たり前なのかもしれないね。高校生の頃に戻ってみようよ。楽しかったじゃないか」「ちょっと嫌なことあってもすぐ忘れられたっけ。博志くん子供さんは?」「残念。僕一人もいないんだ。勤め始めてすぐに同じ会社の人と結婚したんだけど、一年位で別れちゃった」「そうなんだ、じゃ現在は二人とも独り者ってわけなのね」「あのね、明美ちゃんと僕がデートしたって、誰も文句は言わないよ。高校の時みたいに先生や同級生の目気にすることもないしね」。二人の初デートは動物公園と決まった。ずっと昔二人約束していた上野公園行き指切りしたのにそのままになっていたのが実現されていなかったからだ。
明美は久し振りに紅とマニキュアを買った。何を着て行こうかと考えたが何しろ5年間着たきり雀だったから思い切ってワンピースを買った。ついでに靴も。何故か楽しかった。明美はこれから先博志との間がどうなろうなんて考えてはならないと思う。ただ生きて明るく生きていくきっかけになったのは、まちがいないことだ。明日の午前10時、モノレール千城台前で博志と会う。明日天気にして下さい。明美は一夜空の月に両手を合わせた。
市民ガイド
◎千葉市文化センター
−花とガラスと書 2021−
★花・草月流−飯田砂晶、魚津萌玉、近藤扇華、齋藤奈保子、野村浩秋、松井玉樟。★ガラス・アイビークラフトステンドグラス生徒作品★書・武井まさみ▼日時・11月4日(木)〜11月7日(日)10:00〜19:00(最終日17:00)▼会場・千葉市文化センター5階市民サロン*入場無料▼問合せ・090-3135-1980(武井)
◎千葉市美術館
福田美蘭展
現代美術家の福田美蘭は誰もがよく知る美術作品などを独自の視点で改変し、新たな見方を提示してきました。2013年以来の大規模個展となる本展では、日本美術をテーマに38点を展示。だまし絵や描き表装、3D画像など視覚を揺さぶるトリックも用いて鑑賞の常識を覆す新しい見方を提示します▼日時・10月2日(土)〜12月19日(日)10時〜18時(金・土曜は20時まで)▼休館日・10月4日(月)・11月1日(月)・12月6日(月)※休室日10月11日(月)・11月15日(月)▼観覧料・一般1,200円(960円)、大学生700円(560円)・小中学生、高校生無料*障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料*( )内は前売り、市内在住65才以上の方の料金★10月18日(月)は「市民の日」につき観覧無料▼問い合わせ・Tel043-221-2311(代表)千葉市中央区中央3-10-8
◎話し方実践講座
Zoomによるオンラインで開催!
▼開催日時・11月29日(月)13時30分〜16時30分・定員40名(定員を超えた場合は締切後、千葉市の方優先で抽選)参加費無料▼締切・11月15日(月)18時まで▼対象・千葉市在住、在勤、在学、在活動の方でZoom経験者☆講師・大嶋友秀さん((株)スピーキングエッセイ代表取締役)◆申込み方法(*メールのみ)(1)講座名「話し方」(2)お名前(フリガナ)(3)お住まい(または在勤、在学、在活動)が千葉市であるかどうか(千葉市外の方の申込み可)(4)電話番号(5)年代(6)所属していれば所属団体名(個人参加可)を。千葉市民活動支援センターへ☆メールアドレス:
info@chiba-npo.net
◎歩け稲毛!健康ウォーキング
稲毛保健福祉センターから草野水路、ゆかりの家・いなげなどを巡る約5キロメートルのコースを歩きます▼日時・11月6日(土)9時30分〜13時▼集合場所・稲毛保健福祉センター▼解散場所・稲毛公園(稲毛区稲毛1-10)▼定員・先着30名▼申し込み方法・10月22日(金)までにTelで稲毛保健福祉センター健康課へ。問合せ・稲毛保健福祉センター健康課Tel043-284-6494/FAX043-284-6496
◎ギャラリー古島
「第1回ワイス展」中島尚子水彩教室
10月8日(金)〜10月13日(水)
「大野晶平作陶展」
10月15日(金)〜10月20日(水)
「田岡瑛子油絵作品展」
10月22日(金)〜10月27日(水)
「上村勝子・優子お仕立て展」
10月29日(金)〜11月8日(月)
*11月4日(木)休廊
★ギャラリー古島
千葉市中央区春日2-25-11古島籐家具店2階
Tel043-243-3313(JR西千葉駅西友側徒歩2分)
※各イベントは新型コロナウイルス感染症の影響で内容の変更や延期・休止になる場合もあります。
今月の人
株式会社ふくふく 代表取締役 / デイサービスちゃお運営
荒 巻 明 美 さん
介護は予防!大人の学び場でみんなを笑顔に
1964年生まれ、千葉県出身。主婦2児の母として生活をしていた。ところが自身の母親が67歳で突然他界、介護が必要な父親の為に介護の勉強を始めることになる。
その後、介護の仕事の奥深さにはまり、南房総のグループホームに勤務。その現場で早めのケアをしていればここまでひどくならなかったはずという入所者をたくさん目の当たりにする。「こうなる前に何か手立てはなかったのか?」「人はいつまでも住み慣れた我が家で 暮らすのが一番ではないのか?」「介護も予防で改善できる」という思いが強くなり、父親も通えるデイサービスを作ろうと決意。資格なし・お金なし・人脈なしから、熱い想いだけを武器に決意から1年、平成25年9月千葉市稲毛区に「デイサービスちゃお」を開業。「笑いひとつで10秒永生き」をモットーに独自のプログラム・コミュニケーション法で要介護5を要介護1まで回復させるスーパー施設に育て上げた。
明るく前向きなキャラクターで利用者のみならず、そのご家族まで元気にする介護のお助け人。住み慣れた我が家で大切な家族と、ずっと一緒に過ごしてもらいたいという強い想いから、施設で提供するプログラムは楽しく笑顔で続けられるものというコンセプトでセレクトされたものばかり。大人の学び場というネーミングのプログラムは従来の施設が提供するものと違い、大人の意思を尊重、自立型の内容で積極的に参加しやすいと大好評。筋トレだけでなく、習字、太極拳、音楽療法など魅力的な内容が時間割のようにちりばめられている。「ちゃお」に行くのが楽しいと言う高齢者が多いことがその証拠だと感じる。「ちゃおには高齢者はいません。素敵に年を重ねている“幸麗者”の方にお集まりいただいております。ここは元気と笑顔のパワースポットです。筋力も必要だけど気力の方がもっと大切。おしゃべりは一番の脳トレです」と、いっぱい笑っていっぱいおしゃべりしようと呼びかける。
現在は介護業界の改革を目指し「幸せ介護応援団」を発足。応援団長として日々、より明るく楽しい現場づくりに奔走中。介護される人、する人両方の相談に耳を傾け寄り添う施設運営を実施している。「私は高齢者を尊敬しています」という荒巻さんの言葉には利用者をご自身の親だと思って接しているあり方から出ているものだと感動させられた。2021年秋には美浜区に「デイサービスちゃお2」がオープンする予定。 【取材 佐藤節子】
随筆 ゴルフと儀ちゃん
吉成 庸子さん
秋の夕暮れが庭の木々にさわやかな風を送り込んで来ている。やっと午前と午後の水まきをやらなくてよくなり、私はまずホッとしていた。
吉成儀ちゃんと結婚してはや6ヶ月過ぎている。なのに未だ慣れない事の現実にいささかげんなりしていた所だった。 東京生まれ都会暮らしだったせいか、草取り、芝刈りなんてやった事がなかったもの。その上料理なんて大嫌いで毎日の食卓を充実させるのはとっても大変だった。
なにしろ私はそれまで、朝から晩まで働いていたので、自分で食事を作る習慣さえなかった。当時儀ちゃんは会議や夜の会食も多かったので、そんな時私はラッキーとばかり缶詰を開けて一人でゆっくり食事してたっけな。
その頃のもう一つの苦労があった。ゴルフだ。大のゴルフ好きの彼は「夫婦で共通の趣味があってもいいな。そうだ二人でゴルフをやろう」と言い出した。
独身時代たしなむ程度ゴルフはやっていたが好きになれずにいた私。「ゴルフ?ダメだって、私いくら練習しても上手にならないし、ゴルフは無理だよ」そう答える私に「大丈夫だ。何事もやる気と根性だ」と言い切って、さっそく庭のすみにネットを張り簡単なレッスン場を作ってしまった。
そして「俺が早く帰った時、ここでレッスンしてやる。けっこうスパルタだがすぐに上手くなる」なんて言い切った。
そしてレッスンが始まっていった。ああ、遅く帰ってくればいいのに…と願いながら「今夜お帰りは?」と玄関でひざまずいて聞くと「定時」と言う答え。ほんとに座り込みたくなる瞬間だ。
でも、そのおかげで少し上手になってきたのか今度は一緒にコースに出ようと言い出す。人の半分しか飛ばないので、御一緒して下さった方々にはご迷惑をおかけしたと思う。グリーン上でも儀ちゃんは「お前はバカか?」と怒る。「バカじゃなかったらお父さんみたいな男と結婚してないでしょ」とやり返した私。マナーの悪いゴルファーだった。今つくづく反省している。
むこうも疲れたのかその後しばらくして特訓はなくなったが、たまに休みが続いた休日、二人だけでゆっくりプレーした日もあった。
めったに車のハンドルをにぎらないので、儀ちゃんの運転する車に乗るのは恐かった。すると「俺は特攻隊できたえられ空を飛んでたんだぞ。地上を走る車なんて上手に出来る」といばられた。
ところが冬の早朝、カントリーに行った時、突然車が道の真ん中でクルクル回りだした。
アイスバーンに乗ってしまったのだ。なにがなんだかわからず気がついた時はさかさまになった車の中にいた。
やっとの事で車の外に出たが、周囲には道路からその林の中に飛び込んだ車が何台かあった。
何もやらない女房だったけどせめてゴルフだけ付き合ってやれたのは、よかったかなあと思っている。
ほんとに共通の趣味を持っていない夫婦だったものねえ。
櫻井俊雄物語(16) 「法の番人、弁護士の堕落」
千葉の近代史を創った男の話 武田 弥太郎
櫻井俊雄氏
思わぬトラブルに巻き込まれて裁判沙汰になることは誰の身の上にも起こりうるが、その際私たちが頼りとするところはやはり弁護士である。弁護士は法律の専門家であり、社会的地位は高い。ところが、最後の砦の弁護士の中にどうしようもないくらい低レベルの者が増えてきているのが嘆かわしいと俊雄はいう。依頼者のお金を横領する弁護士は昔から散見するが、それとは別次元の弁護士が出てきたと憤る。横領とは違って犯罪にはならないから捕まることはないが、およそ弁護士とは思えない仕事内容ばかり請け負っている弁護士がいるというから驚きだ。
都内の大手弁護士事務所がサラ金の取り立てを受任することは多いが、中には10年以上前に時効が成立して支払い義務がなくなっているのに、それを隠して弁護士名で弁済請求し、払わなければ訴えると脅かしてくるという。一般人は突然の請求に腰を抜かして眠れなくなるが、俊雄は相談があると「訴えさせればいいだけだ」とアドバイスしている。弁護士会に苦情を申し立てても「請求すること自体は問題ない」と対応しないことを嘆いている。
中には法的知識を悪用し、詐欺グループの手助けをする弁護士までいると警鐘を鳴らす。相手が素人だと下に見て、高金利の闇金の取り立てを平然と行うケースが増えている。多くの一般人の「借りたものは返すべき」との良心につけ込み、払う必要のない高金利や、返す義務の無くなった元金まで請求するという。裁判に訴えてくるから始末に負えない。しかも、事務所のアルバイト職員に訴状を書かせ、法廷でミスを修正することを繰り返すから信じられない。また、詐欺グループの手助けをしたとして弁護士会から何度も懲戒処分を受けても、反社会的グループからの要請を断らないで「取り立て」を続けているという。仕事がないのかもしれないが、なんのための司法試験と司法修習なのかと怒り、情報をつかんでいるはずの警察が動かないのが解せないと俊雄は落胆している。
千葉市でも問題が発生しているから他人事ではないという。俊雄は弁護士ではないから、困っている人の代わりに裁判所に行くことはしないが、できるだけ相談には応じているという。俊雄自身も正義感の強さから妥協をしないことでトラブルに巻き込まれることがあるが、めったに弁護士には依頼しないという。あかいの郷の裁判の時も、信頼できるパートナーに相談しただけで、みずから法廷に臨んだという。裁判所にかかわったことのない人ほど問題発生のときに困惑するが、そこに合法的につけ込んでくるから許せないという。市や県でも市民を守る方策を考えなければならないだろうと語っている。
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