130,000部発行
2020年1月10日
通巻第280号
年間郵送購読料3,000円
稲毛新聞
 発行責任者/佐藤 正成  発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
HOME Top News 連載・特集 地域一般 芸能・スポーツ 耳より情報 地域新着情報 読者の広場 インフォメーション おすすめリンク
連載・特集へ
 想い出の人
 李元総統の教え(3)
 主張 入野守雄
 挨拶する子しない子
 随筆
 きさってぃ
 市民ガイド
 今月の人
読者の広場へ
 読者アンケート
 読者の声
 投稿はこちらへ
 過去の記事検索
Informationへ
 会社案内
 購読申し込み
 お問い合わせ
最新の千葉市のニュース・話題・オトクな情報満載の携帯サイトはこちらからどうぞ!

想い出の人
 稲毛東駅前にお住いの福田良先生に初めてお目にかかったのは1996年6月頃であった。口ひげを蓄え、温厚で誠実な人柄、何事も理路整然と語る口調に大変感銘を受けたことがある▼福田先生の父は、元海軍技術中将で、世界に冠たる日本の造船技術の草分け的存在で、戦艦大和などの軍艦の設計にかかわった優秀な頭脳の持ち主であった。
 福田良先生も戦後は、防衛庁海上幕僚監部に所属、内外の航空機の専門技術の翻訳や最新技術の研究をされ、東北大学では光ファイバーの研究を行った。東北大学には光ファイバー発祥の地という看板が掲げられている▼東北大学を退職後は、自然や山を愛し千葉県山岳連盟の創始者として活躍し、「房総の山を歩く会」を結成。会員は七百名に及ぶ。ただ山を歩くだけでなく、神社の名前やルーツ、歴史の研究も続け登山歴60年の経験から「房総山名考」という著書を出版している▼音楽の才能もあり、自らオカリナを演奏する傍ら、船橋市合唱団を結成し自ら指揮者をつとめた。自社ビル1階に「シバカレー」を入居させ、4階には娘さんが経営する「コルトレーン」と息子さんが経営する音楽教室もある。カレー屋の柴崎廣さんと親しく、よく遊びに来て歓談していたのが印象深い▼福田先生は小生に『巨大化は悪に転ずる』という理論を教えてくれた。次は巨大は悪について本を出したいと語っていたが、その夢がかなわず、1998年7月14日に肺がんで75歳で他界された。 (正)

フロントページへ このページのトップへ


連載シリーズ(3) 台湾李登輝元総統の教え
稲毛新聞主幹 佐藤 正成
韓国は恩知らずの国
 李登輝さんは韓国について「恩知らずの国」と小生に語ったのは今から12年以上も前のことである。
 確かに、韓国は初代李承晩大統領以下歴代大統領は反日運動を煽り、日本に対して敵対視するのが通例であった。ことに李承晩初代大統領は「李ライン」という海洋線を引き、勝手に竹島を韓国領土にして現在も不法占拠を続けている。
 しかも、韓国の歴代大統領は10人中8人が亡命・失脚・死刑・懲役刑・自殺など悲惨な末路を呈した。
 その後の歴代大統領も慰安婦問題をでっち上げて巨額な賠償金を請求した挙句の果て合意し設立した慰安婦財団も勝手に解散してしまった。
 特に、現文在寅大統領が就任してからは70年以上も前に日本の企業で働いた韓国人徴用工について大法院(日本では最高裁判所)の判事を文在寅の意向に沿う判事に交替させて日本に対して不当な賠償請求の判決を下させた。
 この言い分は「三権分立」を盾にとり、日本の要請を聞く耳を持たない。対抗措置として日本は輸出管理規制を発動、韓国をホワイト国から除外した。
 韓国はこれに反発して日本製品の不買運動を起こした。さらに、自衛隊の哨戒機に火器管制レーダー照射事件も謝罪せず、逆に日本の自衛隊機が悪いと開き直った。さらに、韓国の国会議長は天皇陛下(現上皇様)に対して侮辱的な発言し謝罪を要求した。また、旭日旗は戦犯旗としてオリンピックの会場に持ち込むなとか、1965年の日韓基本条約は無効だとか、日韓併合は不当な植民地支配であるとか、日本企業を戦犯企業だとか、何かにつけて言いがかりをつけてきたのが韓国である。こうした事実に対して李登輝元総統は「韓国は恩知らずの国」と称したのであろう。まさに先見の明があったと言える。
 台湾の多くの人々は日本のお蔭で近代化されたと教科書でも教えているので日本を悪く言うことはない。大学を設置したり上下水道のインフラ整備、前号で紹介したように八田輿一氏が灌漑用水を整備し、台南地区を穀倉地帯にするなど大きな貢献をしてきたので、台湾人は日本に感謝している。
 とくに、東日本大震災の時には台湾は政府レベルで国交がないにも関わらず合計でアメリカに次ぐ253億という大金を支援してくれた。
 ちなみに同盟国大韓民国からは2億1千5百万円(日本赤十字社公表)の義捐金をいただいたが、台湾とは比較にならない。
 李登輝氏曰く「韓国も台湾同様に日本のお蔭で近代化された。韓国は日本統治時代に小学校をたくさん設置、京都帝大と同等の大学も設置。このほか道路、鉄道、港湾などのインフラ整備してくれた。福沢諭吉は文盲の韓国人にハングル語を復活させて教育水準をあげた」など、日本を高く評価している。
 しかし、そんな韓国でも正しい歴史観に基づき「反日種族主義」という著書を著したソウル大学名誉教授李栄薫氏の主張がベストセラーになり話題を呼んでいる。今や韓国は文在寅政権は政治・経済が有史以来最悪の状態に陥り、国家消滅の危機を迎えている。中国の属国になってしまうのだろうか。

フロントページへ このページのトップへ


主張 消費税廃止で国民の所得はアップする
稲毛新聞論説委員 入野 守雄
 テレビ東京は「ソクラテスのため息」の番組で財務省国債課長と名乗る村尾信尚を登場させ、今年の国家予算は101兆円と説明、税収が63兆円なので38兆円は借金をしなければならないと発言。国民を騙すため家庭に例えて国民を洗脳した。    
 「国の歳出101兆円を家庭の支出1千10万円とし、国の税収63兆円を家庭の年収630万円にして、収入が630万円で1千10万円使えば380万円は借金となり借金を続ければ家庭は破産する」と、村尾信尚財務官僚は力説した。しかし、日本国には日銀と言う中央銀行があり円を発行している。
日銀は30年間に累計で500兆円の円を発行していて、政府に貸している。家庭は円を発行できない。     
 財務省、大学教授、マスコミは日銀が円を発行し政府に貸すと日本国債の金利が上昇し、ハイパーインフレになると主張した。    
 しかし、金利はマイナスであり、インフレにもなっていない。安倍首相が7年前デフレ脱却で1,金融緩和。2,財政出動。3,経済成長戦略の三本の矢を掲げたが1の金融緩和は実施したが2,3,は全く実施せず、逆に財政出動の公共工事予算は減らした。
 安倍首相は成長戦略とは逆の、種子法の制定、移民の受け入れ、外資規制のない国有林野管理経営法など我国の領土や資源を海外に売りとばす法案を成立させた。野党も反対しなかった。与野党とも国家を売る売国奴である。
 自分達が良ければと経団連、同友会は消費増税に賛成する。経団連会長の日立製作所に「消費増税に賛成するのは何故か」と聞いたが日立の広報室は答えない。
 トヨタも消費増税賛成で、毎年2兆円の利益を上げているのに2009年〜2013年の5年間、法人税を払っていない。トヨタの2兆円の利益は全て国外で稼いでいるので、国内がデフレでも無関心である。
 年間1億3千万円の政治献金で法人税を安倍首相は免除し、野党も国会で追及しない。
 安倍首相実施のプライマリ黒字化は国家予算を税収の範囲内に収める政策で、税収が60兆円なら国家予算を60兆円にすれば黒字だが、これでは国民の四割は生活できない。    
 消費増税で国民が払った金額は20兆円である。国民一人当たり年間15万円になる。四人家族で60万円である。   
 この計算でいけば10年で600万円、30年で1800万円である。
 安倍首相のデフレ脱却は大嘘である。消費税を廃止すれば国民の所得も増えるし、デフレ脱却が出来る。数字が証明している。     
 国家予算の拡大を抑制するのはインフレ率である。デフレ時に消費増税で消費を抑えるのは無知無能と言える。
 安倍首相はプライマリーバランス黒字化で借金を否定しているのに、今年の予算101兆円は借用書を日銀に出し借りている。   
 財務省も101兆円の借金を事実だから認めた。国家予算の財源は税収よりも国債発行の借金である。デフレを続けているのに安倍首相は消費が縮小する消費増税を強行するのは愚策である。インフレならば増税は必要であるが、今はデフレである。
 10月に消費税を10%に上げたが、消費が落ち込み日本経済は低迷している。ポイント還元などの対策をしているが何の効果もない。

フロントページへ このページのトップへ


「きさってぃ」の自転車コーナー
自転車競技トラック中距離選手
日本写真判定株式会社 中村 妃智
イギリスのグラスゴー大会に出場
 みなさんこんにちは!きさってぃーの自転車コーナーです。
 急激に寒くなってきましたが皆さんはいかがお過ごしでしょうか?私、きさってぃーは寒いのが大の苦手で気温が下がると人一倍身体が動かないので毎年苦労しています。
 しかし寒いのは日本だけではありません。遠征先はマイナスになることもしばしば。
 1月に行くカナダは天気予報を見たらマイナス14度となる日もあり驚愕。これはヤバイと身の危険を感じて値が張りましたがちょっとお高いダウンジャケットを購入してしまいました。
 私は身体、特に足先が冷えたら自力では体温を戻せず、湯につかるか暖房をつけた部屋に長時間いなければ体温が戻りません。
 運動もして毎日入浴もしているのにこの冷えはなかなか改善しませんね。遠征先では浴槽がないことが多々あります。
 朝レースの出発前に熱いシャワーで身体を温めたり、身体に直接貼れるカイロでなんとか乗り切っています。
 さて、私の『寒いのは大嫌い話』もそろそろ切り上げまして、現在自転車競技トラック界は絶賛シーズン中でございます。
 私は第2戦イギリスのグラスゴー大会に出場してきました。
 種目は2人ペアで走るマディソンに出場。結果は11位で予定範囲内の順位でしたが今年からワールドカップの距離が伸びました。
 今まで20kmだったのが30kmになりました。この10kmは大きい。アベレージスピードも高く、とても苦しいレースでした。
 正直ヨーロッパ勢についていくのがやっと。私はコーチと相談してワールドカップ3・4・5戦はトレーニングに費やすこととなりましたがなんとこの3・4・5戦、日本チームのメダルラッシュ!
 金4銀1銅4を獲得しています。
 日本チームの進化が止まらない!

フロントページへ このページのトップへ


市民ガイド
千葉県動物愛護セミナー
今年は「ゼロから始める動物愛護ボランティア」をテーマに、現在活躍しているボランティアの方々による講演を交えながら、皆さんと一緒に考えるセミナーを開催します。▼日時・2月1日(土)14時〜16時30分(13時30分受付開始)▼会場・千葉県文化会館小ホール(JR外房線・内房線本千葉駅から徒歩10分)▼定員・200人(申し込み先着順)▼申し込み方法・代表者の住所、電話番号、希望者全員の氏名を書いてファクス。電話申し込み可▼問い合わせ・県衛生指導課TEL 043-223-2642 FAX043-227-2713

ハンドルズ×近藤良平公演
 障がい者ダンスチームハンドルズのメンバーと国内トップクラスのアーティスト近藤良平がひきいるコンドルズが力を合わせて創るダンス公演!笑いあり!涙あり!身体表現の芸術性と個性あふれるパフオーマンスをおとどけします▼日時・令和2年1月26日(日)15時開演▼場所・千葉県文化会館小ホール(千葉市中央区市場町11-2)*入場料2,000円〈全席自由〉障がいのある方及び介助者1,000円▼千葉県文化会館Tel043-222-0201

こども歌舞伎公演
▼日時・令和2年2月2日(日)▼会場・千葉県文化会館大ホール*全席自由2,000円/学生1,000円★出し物・『口上』『清元 神田祭』『外郎売』『身替座禅』『応挙の幽霊』千葉県文化会館Tel043-222-0201

第3回能を鑑賞する会
▼日時・令和2年2月8日(土)13時15分開場14時開演▼場所・青葉の森公園芸術文化ホール*入場無料「一般の方資料代500円」学生は代金不要。予約不要・全席自由★番組・能の話 お囃子の話。仕舞「高砂」「屋島」「天鼓」。面(おもて)・装束の話。羽衣の話。能「羽衣」鑑賞。(休憩20分)土蜘蛛の話。能「土蜘蛛」鑑賞…終了予定16時▼一般社団法人松の会Tel090-9732-7791(鈴木靖)

上原彩子&&豊嶋泰嗣デュオリサイタル
★日本が世界に誇る二人の名手による夢の共演▼日時・令和2年2月9日(日)14時開演▼会場・千葉県文化会館大ホール*全席指定4,500円学生・3,500円★プログラム・♪ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番ヘ長調♪ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調♪プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番へ短調。▼問い合わせTel043-222-0201

楽しい和
▼日時・令和2年2月8日(土)開演13時終演16時▼場所・千葉市生涯学習センター2Fホール(入場無料)★内容・十二単の着装を鑑賞。津軽三味線や篠笛・和太鼓の演奏を鑑賞する。来場者が講師指導により伝統芸能体験★出演者・十二単の着装/安部公美、豊田祐子・津軽三味線/村松大・篠笛/久保木智康・和太鼓/和太鼓総★講師・着付け/山本俊子、お茶/山田信章、くみひも/吉野静子、松本寿磨子、片岡とみこ▼問い合わせ・申し込み・特定非営利活動法人BOSO事務局(加藤)TEL070-5468-8280

ギャラリー古島
「深川芳子」更紗・裂織・刺子の世界。1月10日(金)〜1月20日(月)*1月16日休廊(木)。「ユーラシア民の手仕事を楽しむ展U」1月24日(金)〜2月3日(月)*1月30日(木)休廊★ギャラリー古島Tel043-243-3313

フロントページへ このページのトップへ


今月の人
「ダンシングサマー」の企画・構成・振付をした
ジャズダンスインストラクター 松本桂子さん(60歳)
千葉市民会館大ホールでダンス合同発表会
 昨年の8月松本さんは入場無料で千葉市民会館大ホールでさまざまなダンス(バレエ・ジャズダンス・フラダンス・ベリーダンス・ステージダンス・ヒップホップ・和太鼓など)の合同発表会、第14回ダンシングサマーを主催し開催した。
 学習院短大を出た後一流企業に勤める会社員だったが、若い頃このままでいいのかと言う焦りと、何かに突き上げられるような気持ちから、ダンスの世界に足をふみこんだ。
 基本となるクラシックバレエを習っていた訳でもないのに、ジャズダンスの社会に飛び込んでしまい、成人してからのダンス習い始めで、その上、1年位で人に教える立場に置かれ、その挙句発表会を開催してしまったと言う。
 「この社会では考えられないスタートをきってしまったのです。若かったからでしょうか、怖いもの知らずだった…」とのこと。その後親子三代夏祭りで初めてジャズダンスを踊るという機会を得たり、後楽園のイベントで前座を務めたり、巨人軍の選手にエアロビックスダンスを教えたり、短い期間ではあるけれど自分のスタジオを持ったり、八面六臂の活躍をしたようだ。
 当時はジャズダンスのブームでありさまざまな人、多くの人に助けられて、めちゃくちゃに突っ走ったと述懐している。
 現在、若い人たちの中にはジャズダンスを知らない人も多い。ジャズダンスは基礎が大事で身体を芯からつかえるようにならないとなかなかうまく踊れないためスポーツクラブでもマイナーなジャンルになっているようだ。ダンスをやる人は個性的でおもしろい人が多いと言うそういった人達と作りあげる舞台は楽しい反面、そこに至るまでの道のりが波乱万丈で大変なこともあるが皆さんの楽しそうな姿を見また約1000人、満員御礼と温かい拍手、本当にやって良かったと強く思うと言う。いただいた名刺には松本桂知(かつら)とあった。フィナーレで男役だったからだろうか?明るく、聡明で運動神経抜群といった感じの松本さんとても還暦とは思えない若さである。ますますの活躍を期待したい。
 千葉市の輝く宝である。生徒さんの中で一番の年長の方は83歳とのこと、健康で楽しく、美しいプロポーションを手に入れたい方は彼女に電話をしてみたらどうだろう。【取材・川村文彦】
電話090-8811-3043(松本)

フロントページへ このページのトップへ


随筆 男の純情

吉成 庸子さん
 ホテルグリーンタワーの一階のレストランの窓から外を眺めている。台風や大雨があったのがまるで嘘のように、冬のこもれ日が紅葉した赤や黄色の街路樹の上にやさしくふりそそいでいる。
 実は私の自宅は屋根の瓦が飛んだ上ひびが入り、雨漏りはするわ、塀が倒れ、庭木は折れて、ちょつと凄まじい状態。周囲の方々が心配して下さり、二、三日グリーンタワーで過ごす事となっていたのだ。
 被害はショックだったけど、いろんな方からの優しさや温かさをいっぱい頂いて、温かい気持ちが胸の中にひたひたと広がってきている。もうすぐ新しい年がやってくる。
 そう気がついたら儀ちゃんと過ごしたお正月を思い出した。結婚した時、「俺は銀行に生命を捧げている。 だから参百六拾五日、俺の時間一日もないと思ってくれ」と言い渡されていた。そんなわけだから、二人で旅行なんてまずなかった。
 そんな私を気遣って秘書室の方々が「お正月くらいはお二人で温泉でも」とすすめて下さりなかなか予約のとれない宿をとって下さっていた。でも「正月とはいえ、いつ何時なにがおこるかわからないから」とたいていキャンセルになった。
 「それじゃ、せめて県内の旅館でも」と養老渓谷の清見苑さんを予約してくれた。そこまでされてはと、しぶしぶ儀ちゃんも承諾したのである。ところがところがである。玄関に出迎えて下さった女将さんの顔を見るなり儀ちゃんが一瞬直立不動になった。
 そして部屋に入るとすぐに私に「お母さんここはいいところだ時々こよう」と言うじゃないか。「ウンそうだね、近いからね」と答えながらなんだか私は不思議だった。
 風呂に入ってから夕食のため食堂に降りた。席に女将さんが再び挨拶に来て下さった。
 その時も彼はすごく緊張した顔になり、指先まで真っ直ぐに伸ばして立ち上がり頭を下げた。いよいよ変だ。
 私は「お父さん、あの女将さん前に会った事あるの?」と思い切って聞いた。
「いいや」と言って儀ちゃんは手酌でたてつづけに何杯か日本酒を飲んでから「あの女将さん、初恋の人にそっくりなんだ」と言った。
 「ああ、アルバムに貼ってあるセーラー服の人」「そうだ、彼女にそっくりだろう」と言う「そうかなあ?」と答えながら私はアルバムの人を思い出していた。
 佐原高女に通うその人と銚子商業に行っていた二人はずっと文通をしていたそうだ。
 特攻隊員に選ばれた時、儀ちゃんは見送りに来てくれた彼女の姿をしっかりとらえたが、儀ちゃんの初恋はそこで終わった。
 思いがけず生きて帰ったが、その人とは二度と会う事のないまま、結婚したとの噂を聞いたそうだ。でも写真は大切にしていた。
 それからお正月はいつも清見苑に行くようになった。
 私はつくづく男の方が純情だなあと思ったものだ。

フロントページへ このページのトップへ


フロントページへ このページのトップへ


耳より情報へ
 ■住まいの救急社!(有)マイケン
  地域新着情報へ  
 ■ふるさと祭り東京2020
  その他のニュースへ  
 ■論壇 気になる日本語
 ■「稲毛新聞」をお気に入りに登録する
  おすすめリンク