130,000部発行
2019年2月8日
通巻第269号
年間郵送購読料3,000円
稲毛新聞
 発行責任者/佐藤 正成  発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
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連載シリーズ(16) 間違いだらけの痛み対策
ひざ関節痛の特徴 都賀治療院 院長 藤 城  博

藤城博先生
 例えば膝は大腿骨と脛骨と膝蓋骨の間で関節を作っていますが、大腿骨と脛骨の長管骨がぐらぐら揺られたり、関節面が過剰にこすられたりして関節炎を発症する訳ですから、揺らさず、こすらなければ治って行きます。従って、体重を掛けたスクワットや階段の昇降などのようなリハビリは極めて再発しやすいので決してやらないことです。
 初期の筋トレは膝を真っ直ぐ伸ばしたまま、大腿四頭筋を収縮させます。10秒間収縮させて2〜3秒休むというのを10回繰り返し、1日3セット位が目安です。膝関節をしっかり固定する役割の大腿四頭筋を中心に大腿骨を取り囲む前後左右の筋群が弱くなると、固定力が低下し、膝がぐらついて関節炎が発生しやすいので、これらの筋群を補強してやります。
 膝を取り囲む筋群のトレーニングは、周辺の循環をよくして関節内部の栄養障害も回復させ、脱落や消滅しかけている関節軟骨細胞を増殖させる作用がありますので、膝の痛みがはっきりと楽になって来たら、痛まない範囲で少しずつ開始します。同時に生活の中で膝に負担のかかる動作(痛みを誘発する動作)は避けるように工夫することは、その後長期間にわたり良い状態を保つには重要です。 中年過ぎたら、今から鍛えてもっと丈夫にしようという考えを持たないことです。鍛えようと思った瞬間から、やり過ぎになり壊れる運命は始まっていると思えば当たっています。
 膝の関節軟骨も物理的摩耗の原則に従います。それは使い過ぎて限界を超えるとどんな正常な関節でも炎症が起きて水が溜まり、やがて変形が始まる運命にあります。したがってせいぜい機能を維持する位に考えると丁度よいのです。そうすれば結果的には一番よい状態が保てるのです。それでも加齢で機能がゆっくりと下降するのは避けられない運命にあります。
 最終目標は、生涯に渡って無事全うすることにあります。(無事これ名馬)結果としてそういう態度のひとの方が長持ちしているのが現状です。
 変形性膝関節症は若い時運動や仕事で無理をしたひとや、現在無理をしている人に発症します。現に運動器系の痛みを長期間抱えている人の共通項は「努力家」と言う条件があります。
 この人たちは人生を努力して成功した経験がありますから、多少痛みを我慢してでも筋肉トレーニングを続けて、この痛みを乗り越えようと言う意思が強いですから、皮肉にも努力家ほど治らないという傾向があります。逆にいい加減な人は努力や我慢が嫌いですから、痛いことはしませんのでよく治ります。またさらに栄養も大事な要素です。 昔の食品には軟骨の材料であるキチン質や糖鎖などが入っていたのですが、最近のものには少ないそうです。その理由は昔の稲の葉にはイナゴが沢山止まっていましたが、稲の葉はイナゴの足からキチン質を吸収して硬さを作っていたのだそうです。
 今は、農薬で甲穀類などの昆虫が減ったので食材にキチン質が不足して、関節なども弱りやすいという説もあります。
 従って特別な軟骨成分を含む食材や、場合によっては軟骨の材料になるサプリメント(N―アセチルグルコサミン、コンドロイチン等)を治療と予防に用いる方法が、世界的に行なわれていて一定の効果を出しているようです。中高年は足腰に問題がある人が多いので、グルコサミンやコンドロイチン製品は良く売れているようです。

3、膝関節は体重が影響
 変形性膝関節症は加齢による変化が主ですが、他に遺伝、栄養、ホルモン、代謝、体重、関節外傷の有無、運動量、筋力、性別などです。要は膝の関節部分(大腿骨と脛骨のつなぎ目)でぐらぐら揺られる力と、関節軟骨に重力がかかった状態での摩擦力によるすり減ると、関節軟骨に加わる機械的衝撃の三つが主に合わさって変形性膝関節症が発生します。
 人類は歩行時に荷重が片脚にかかる際、膝の部分で左右にゆすられるうえ、体重とのバランスをとるため筋や靭帯などの力が加わって、膝関節には歩行時、体重の2〜4倍、階段昇降時は8倍の応力がかかります。 人類の生活様式も加わって膝が一番負担のかかる関節で障害も出やすい。また機能を軟部組織に依存する関節の構造とも関係して、膝の関節症は肥満と筋力低下との関連の最も深い関節といわれます。
 特に女性の中高年の肥満症の両側性の膝関節炎が特徴です。従って肥満による膝関節症は生活習慣病と言うこともできます。例えば20kgの過体重の人は、なにをするにも常に子供を一人おんぶして、暮らしているのと同じです。(以下次号に続く)

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主張 市長、何とかしてくれ!
稲毛新聞論説委員 今村敏昭
 柏台小学校区内の空き家のブロック塀が倒壊しそうなのに、所有者と連絡が取れないからと、千葉市が対策をとれないでいる。
 行政内部で様々な手段の検討はなされており、窓口となる稲毛区役所地域振興課だけではなく、本庁や柏台小学校、地元自治会、消防団、市議会議員などの多くの人々が連携し、様々な提案、働きかけを行うなど、関係者のご苦労に頭が下がる。
 改修工事、保全工事には費用がかかるから、市が税金を使って直接工事に乗り出すのは最後でなければならないとは思う。ただ、所有者から了解を取らないと着工できないというのは、直ちに対策が打てないことの口実に過ぎないとも思っている。
 所有者に連絡が取れても、「危険だから改修工事をしなさい」と粘り強く指導するだけで、「承諾してくれるなら、市で工事を行いますよ」とは決して言わないはずだからだ。役所には役所の事情もあろう。
 大事なことは、目の前の危険を迅速に取り除くことだ。
 緊急避難的に市の負担で保全工事を行うことだ。そのための行政であって、費用を支出しても異を唱える人がいるとは思えない。
 行政のほぼ全分野が何らかのマニュアル化されており、この件も一定の取り扱い基準があるだろう。
 法令の定めにのっとって、時間をかけて手続きを進め、どうしても所有者が応じないときにはじめて行政が直接乗り出す、これが通常のやり方だ。
 しかし、優先すべきは安全確保であり、行政内部のマニュアル順守ではない。必要な最小限の対策を直ちにとるべきであったと残念でならない。
 地元住民の中には、自分たちの負担で工事を行うと区に相談した人も複数いるというが、行政が「所有者の承諾が必要」と言えば、地域の人々も「そうだよな」と思う。だったら、恐れをいとわぬ誰かが相談もせず勝手にやるしかあるまい。
 地元の人々は壁に注意喚起の張り紙をするなどの精いっぱいの努力をし、学校も地域も、一体となって子どもたちを守ろうとしている。
 これだけ地域が苦労しているのだから、こんどは行政が答えなければならないと思う。みんなが期待している。
 現場の簡単な補修はした。しかし、長年生い茂った樹木の根が張ることで擁壁に影響を与え、太くなった幹の部分がもたれかかった圧力でブロックを壊した状況を改善する本格的工事は、市がやるしかない。所有者が無応答なのは、改修工事の必要はわかっていても、それができない何らかの事情があるからだ。だからもうあとは、市長、何とかしてくれ!

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短編小説 モノレールストーリー
春の予感  作・吉成 庸子
 千葉の中央公園から、ホテルサニーガーデンを背にして、真正面から、走るモノレールを眺めるのが、香は大好きだった。
 その日は日曜日、香は大森町の家から歩いて、中央公園までやって来てモノレールを眺めていた。香は一人っ子。父はサラリーマン、母は専業主婦で親切な世話好き小母さんというところだ。女子大を出て地元の銀行に勤めている香は27歳だ。
 両親の心配は今のところ香の結婚にあるらしい。「27歳といえばもう行きおくれの口なんだよ。あんた本当にもてないんだねえ。恋人の一人もいないなんてさあ」と嘆く母。
 父は「子供がいないとこの家は俺の代で断絶してしまう。そうなったらご先祖様に申し訳ない」なんて大げさな事を言う。香本人はボーイフレンドも恋人もいないのは恥とも困ったこととも思っていない。
 いつか結婚はしたいとかすかに思っているが現在は仕事も楽しいし、銀行の上司も同僚もみんないい人ばかりで充実した毎日なのだ。
 カラフルなモノレールがはるか向こうの空の下を軽快に走っていくのが見えた。香は背伸びして、走り去るのを目で追っていた。
「君、もしかして山下香さん?」突然若い男の人が声をかけてきた。
 「えって、そうだけど…」と少しビックリして、相手を見た香だが、すぐに彼を思い出して、「もしかしたら守屋君?」と聞き返した。
 「そう、守屋茂、中学で香君より一年上級生の」彼は笑顔でそう答えた。
 「卒業してから初めて会ったんだっけ。守屋君、今何してるの?」
 香の問いかけに彼は「僕、銀行員」と言ってから銀行名を名乗った。
 香の勤めている銀行とはいわばライバル銀行にあたる。香も「私も銀行に勤めてるんだ」と言ってから銀行名を口にした。
「なんだ、仕事上はライバルかぁ」と可笑しそうに言ってから、「なんでここに来てるの?」とたずねる。「モノレールを見に来たの。私モノレールが好きだから」香の言葉に「へぇ〜、僕もモノレール大好きなんだ。ここから眺めるのも好きで、時々来るんだよ」彼の言葉に香は、「へぇ、私と同じだ」と驚きながら茂の顔を見た。
 「ねぇ香君、今から二人でモノレールに乗らない?」と茂が誘った。「うん」香は元気に答えた。三十分後、二人はモノレールから千葉の街を見下ろしていた。
 もしかして、私、この人と結婚するかもしれない…そんな予感が香の胸の中に何故か生まれていた。

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市民ガイド
千葉県立美術館 冬のアートコレクション
(収蔵作品展)◆具象彫刻展−具象長近の先駆者たち-◆近代洋画の先駆者浅井忠9−浅井忠の京都時代-◆北詰コレクションメタルアートの世界V−調金の魅力−◆コレクション名品展-バルビゾン派の画家たちを中心に-◆アートコレクション・プラス具象彫刻の今-彫刻家宮坂信二と県美の収蔵作家たち-▽会期・1月29日(火)〜4月14日(日)9時〜16時30分/月曜日休館(月曜日が祝日の場合は翌日)▽会場・千葉県立美術館1・2・3・7・8展示室▽入場料<アートコレクション共通>一般300(240)円高校・大学生150(120)円*()内は団体料金*65歳以上・中学生以下・障害者手帳をお持ちの方及び介護者1名は無料▽お問い合わせ・千葉県立美術館・普及課Tel043-242-8311
第44回子ども造形展
日時・2月13日(水)〜17日(日)9時〜16時30分(入館16時まで)▼会場・千葉県立美術館第5展示室*入場無料★子ども造形展では、一年間に行われたカリキュラムの中から選んだ作品をメインに展示しています▼問い合わせ・Tel043-255-6394
インターンシップフォーラム
現在、大学のキャリア教育・就職支援体制を強化する上で学生のインターシップ参加率を高めること、地元企業・団体等の仕事の魅力を学生に伝えることが、大きな課題となっております。このような状況の中、千葉県内の大学と地元企業・団体等の連携を一層深化させ、インターンシップフォーラムの取り組み拡大のため「第5回千葉県インターンシップフォーラム」を開催◆日時・2月14日(木)15時〜17時30分(木)◆会場・千葉大学けやき会館大ホール◆内容・取組事例報告、学生発表と受入企業の講評。植草学園大学、神田外語大学、敬愛大学、聖徳大学、千葉大学、千葉科学大学、千葉経済大学、東京情報大学、和洋女子大学(発表順)◆主催・千葉県インターンシップ推進委員会▼問い合わせ・敬愛大学Tel043-284-8333
サル山で焼き芋大会
千葉市動物公園では、現在30頭のニホンザルを飼育、冬の寒い季節は暖を取るために数頭で身を寄せ合って過ごしています。そこで、サルに暖を提供するためサル山の中でたき火を行い、アツアツの焼き芋をサルに提供。来園者向けの焼き芋販売も行います▼開催日時2月10日(日)、2月17日(日)、2月24日(日)各日曜日とも午前10時30分〜12時まで。
▼問い合わせ043-252-1111(代)
ちば県民合唱団定期演奏会
▼会場・千葉県文化会館大ホール▼日時・2月24日(日)14時開演★演奏曲目・モーツアルト作曲/交響曲第41番「ジュピター」・「大ミサ曲」KV427★管弦楽・千葉交響楽団★指揮・現田茂夫★合唱・ちば県民合唱団★合唱指揮・大津康平★ソリスト♪ソプラノ小玉友里花・石田滉♪テノール持斎寛匡♪バス河野陽介▼入場料・(全席自由)3,000円▼主催・問い合せ・千葉県文化会館TEL043-222-0201
タオル帽子でがん患者を支援
がんになった患者さんのほとんどの方が抜ける髪の処理に悩んでいます。タオルで作った帽子を使用することで洗濯等が容易になり、がん患者さんに大変喜んで利用いただいております。★ご一緒にタオル帽子作りしませんか!会員募集中★眠っているタオルがあったらご寄附ください(新品、柄物、色無地可)▼主催・千葉市生涯学習ボランティアの会▼活動場所・稲毛区ボランティアセンター(稲毛区保健福祉センター3F)▼日時・第3木曜日10時▼事務局・千葉市稲毛区宮野木町1652-86代表坂元式子▼連絡先・副代表井上Tel090-2177-2865
ギャラリーオアシス
和紙で作るちぎり絵作品50点展示展。絵具とペン等で描いた作品も10点展示。和紙のぬくもりを感じてください▼3月4日〜30日▼お問い合わせギャラリーオアシス電話043-309-8353
ギャラリー古島
「平岩共代楽しむジュエリー展」-MyLuxury新しい自分を見つけて-2月15日(金)〜2月25日*2月21日休廊「石井康治 ガラスの世界」-Blowinng Glass-♪ハープの演奏3月1日(金)〜3月18日(月)*3月7日14日休廊▼ギャラリー古島TEL043-243-3313・(JR西千葉駅西友側徒歩1分)
長沼コミュニティセンター
「東京2020へ★パラスポーツ・東京五輪音頭体験会」▼内容・千葉大学教育学部付属特別支援学校中等部の生徒さんと一緒に、ボッチャなどのパラスポーツや、東京五輪音頭を体験しませんか?小さなお子様からシニアの方、みんなで楽しめるスポーツです!参加者には生徒さん手作りの記念品をプレゼント▼日時・2月21日(木)10時〜11時30分*入場料無料▼定員60名▼会場・長沼コミュニティセンター(千葉市稲毛区長沼町461-8)Tel043-257-6731

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今月の人
「ちば夜間中学をつくる会」代表・竹内悦子さん 72歳
「ちば自主夜間中学」を開校
学び直しをしたい人たちを支援したい

 花見川区にお住いの竹内悦子さんは水戸市出身。明治大学短期大学経済科を卒業。40年ほど前に千葉市に転居。「生活クラブ生協」の活動に参加し「市民ネットワークちば」の設立に関わり、1991年から千葉市議会議員を3期務め、環境や福祉や教育などの課題に取組んだ。その後「子ども人権ネットちば」や「NPO法人環境ネット」「NPO法人はぐくみの杜を支える会」「社会福祉法人オリーブの樹」など教育・福祉・環境の問題の活動に携わっている。
 現在、全国に公立の「夜間中学」は31カ所存在する。千葉県内では市川市で開校しており、4月から松戸市にも公立の夜間中学が開校する予定。
 2006年「千葉市第2次5か年計画」の中で教育委員会内に「夜間中学設置検討委員会」を設置し検討を重ねたが、教員確保などの課題が多く、外国人の日本語通級教室を設置することで終了。
 2015年、文部科学省が形式卒業者の学ぶ場として夜間中学を認める通知を出した。
 2016年、議員立法で、夜間中学への就学機会の提供を自治体に求める「教育機会確保法」が成立。文部科学省は、最低でも都道府県に1校の夜間中学設立の方針を打ち出した。竹内さんと有志の人たちは、2015年から夜間中学設立に向けて活動を開始。松戸自主夜間中学に関わる人を講師に学習会を開催した他、教育委員会へのヒアリング、フリースクール調査、夜間中学関連の集会に参加するなどの活動を続け、昨年5月に「ちば夜間中学をつくる会」を設立。準備を重ね、昨年10月に「自主夜間中学」を開校。月2回、美浜区の高洲コミュニティセンターで開校している。学習を教えるボランティアスタッフは、教員やもと教員や夜間中学の活動に興味を持つ人など約30人。現在、不登校の生徒や高卒認定試験の受験を希望する人や日本語の勉強を希望する外国人、漢字や言葉の意味を学びたいという年輩の人など十数人の生徒が登録をしている。
 竹内さんは「学習したい内容など本人の希望を聞き、それぞれの人に対応できるスタッフが学習のサポートをしている。生徒さんは学習意欲があり熱心に勉強をしている。今後、夜間中学を週1回開校できるように努力をしたい。年齢に関係なく、学習意欲のある人は参加して欲しい。公立夜間中学開校のために、今後も働きかけを行っていきたい」と語った。
 「ちば自主夜間中学」開校日:毎月第2・4木曜日(1時間目17:30〜18:15、2時間目18:30〜19:15、3時間目19:30〜20:15)参加費:無料【問合せ】携帯090・1837・2385(竹内)  【取材・浦野美智子】

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随筆 つぎはぎのゴルフ手袋

吉成 庸子さん
 一歩外に出ると、冷たい風が吹きつけてくる。空は薄い青空、太陽の光もやさしい。
春がすぐそこまで、たしかに来ているのに吹きつけてくる風の中にはまだまだ冬の寒さがしみついている感じがする。
 ゴルフ好きだった儀ちゃんの事だから、こんな日だって休日なら朝早くから嬉しそうにゴルフクラブをかついで出かけていったにちがいない。日頃はパン食なのにゴルフの日は和食だ。必ず納豆を食べるみそ汁には油あげと、玉ネギを細切りにして、たくさん入れる。なっとうはねばってねばって勝つのだそう。
 油あげはおいなりさんの好物、玉ネギは血をきれいにしてくれるから、力が出て絶対勝つだろうという願いからなのだそう。いくつになっても子供っぽい人だなあと私はうるさく思うけど、出がけのの喧嘩は自分にきつく禁じているから、ニコニコ笑顔で一緒に朝食を食べて送り出す。
 玄関で「ガンバッテネ」と手をあげた後、「おとうさん、あのツギハギの手袋は持っていかないでしょうネ」と聞く。だって、儀ちゃんはゴルフ手袋はいっぱい持っている。
 二つのゴルフ場で理事長、副理事長もやらせて頂いている。そのせいかプレゼントで頂く事も多いし、私の弟が全日本柔道連盟の事務局だったので、水野スポーツさんから買ってよくプレゼントしていた。ゴルフ道具を納める儀ちゃんの戸棚の上の段には手袋が積んである。
 それなのにそれなのに、儀ちゃんは、ゴルフに行く前の晩は、使い慣れているいつもの手袋を出してきて、つぎの上にまたつぎをして、それを持っていくのだ。
 その手袋をしている儀ちゃんをみたかたが「いくら何でもあれじゃ周りが困るかもしれませんから、これを使って下さい」と遠慮がちにおっしゃりながら半ダース手袋を届けて下さった方もあった。
 ああ、それなのに、いつまでもつぎはぎ手袋をつかっている。物を大切にするのはいい事だし、何もなかった戦争時代を経験している儀ちゃんの気持ちも少しはわかる。だけど限度というものがある。
 そういえば、私の母と儀ちゃんは七歳しかちがわなかった。そのせいか二人は話が合って、すいとんの話や足袋やわら草履を手作りして履いた話題でいつも盛り上がっていたっけ。
 二人は今頃天国で出会って、そんな話題をしているんじゃないだろうか?
 そんな気がして空を見上げたら、どこからともなく、うぐいすの声が聞こえてきた。ほんとに春はそこまできている。

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