130,000部発行
2019年1月11日
通巻第268号
年間郵送購読料3,000円
稲毛新聞
 発行責任者/佐藤 正成  発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
HOME Top News 連載・特集 地域一般 芸能・スポーツ 耳より情報 地域新着情報 読者の広場 インフォメーション おすすめリンク
連載・特集へ
 想い出の人
 連載シリーズ(15)
 主張 今村敏昭
 終活年賀状
 随筆
 きさってぃ
 市民ガイド
 今月の人
読者の広場へ
 読者アンケート
 読者の声
 投稿はこちらへ
 過去の記事検索
Informationへ
 会社案内
 購読申し込み
 お問い合わせ
最新の千葉市のニュース・話題・オトクな情報満載の携帯サイトはこちらからどうぞ!

想い出の人
 小生は20歳から千葉ロッテを応援してから半世紀以上になる。当時は毎日オリオンズと呼んだ。毎日新聞社が球団を抱えていたが、大映の永田雅一社長が「大毎オリオンズ」のオーナーになり、南千住に東京スタジアムを建築した▼大毎オリオンズ時代によく東京スタジアムに応援に出かけた。この時、オリオンズの応援団長の松本真一さんと出会い意気投合。いつも傍で応援した。松本さんのヤジが面白く「ヤジ将軍」と呼んだ。当時は山内、田宮、榎本といったミサイル打線と小山投手が活躍、銚子商業の木樽正明投手が入団し大毎オリオンズの黄金期を迎え優勝したこともある▼その後、大映が斜陽化し球団はロッテが買収し「ロッテオリオンズ」となり東京球場が解体され、川崎球場に本拠地を移転した。その後、幕張メッセが整備されマリンスタジアムを本拠地とし「千葉ロッテ」と改称した▼松本団長はヤジを飛ばし応援するだけでなく、ロッテの選手にもいろいろアドバイスしたり、スタンドの観客がファールの打球で怪我をした時は救急室で運んだこともある▼千葉ロッテの応援団は日本一といわれるが松本団長指導の賜物だ。竹ノ塚の自宅から手弁当で千葉まで来て、千葉ロッテの応援を続けた今は亡き松本真一応援団長【写真】の功績を讃えたい。 (正)

フロントページへ このページのトップへ


連載シリーズ(15) 間違いだらけの痛み対策
疼痛の心理学的特徴 都賀治療院 院長 藤 城  博

藤城博先生
 膝関節に変形性関節症が多発する最大の理由に、膝関節は二つの長い骨で構成されていて折れ曲がりのモーメントが他の関節より圧倒的に大きいためと思われます。さらに膝を構成している二つの骨は、関節面に浅いくぼみがありますがほぼ平らなため、骨性のつながりが弱く、基本的にとても壊れやすくなっています。しかも日常的には跳んだり、急に方向を変えたり、しゃがむなど極めて過酷な使われ方をしているのが現状です。
 特にスキーやバスケット、バレーボールなどの膝に過酷なスポーツは強大な重力が繰り返し加わり膝を損傷しますが、スポーツのなかった時代には膝をこれほど過酷に使ったことはなかったはずです。
 このように膝に繰り返し外力が加わり、限界を越えると炎症が発生して水が溜まります。この膝の水が溜まった状態を長引かせると、骨の表面をクロムメッキの様におおっているつるつるな硝子様軟骨が破壊され、その下の硬骨や神経末端が露出して痛みに敏感になり、さらに剥離した軟骨の下から硬骨が増殖して、関節面がでこぼこに隆起して来ます。
 関節面が骨増殖すると神経も露出して、曲げ伸ばしのときこすられてゴキゴキという音とともに痛みも出る様になります。そうするとわずかな日常動作で痛みが出て、ますます水が溜まり、腫れて熱も発生します。骨の近くで炎症があると骨は増殖する性質があることが原因です。
 因みに、骨折後、仮骨が出て骨がくっつくのも、骨折時の出血が引き金になり炎症が起きて、その炎症に誘導されて骨が増殖するというメカニズムがなければ、永久にくっつかないのです。こうして関節内では骨が再生しようとする能力が裏目に出て関節の変形が進みます。
 膝の関節面を覆っている硝子様軟骨は、軟骨の中では最も硬いのですが、一度破壊されると二番目に硬い線維性軟骨で再生されます。したがって痛みが治ったとしても、元の強度にはなっていないので、少しの無理で痛みが出やすくなっています。
 それを勘違いして痛みを我慢し、筋トレをして膝の強度を上げようと努力する人がいます。痛みは私たちに、それが間違っていることを知らせているのです。
 さらに進むと変形の為に関節可動域も減少します。階段の昇降や正坐、シャガムなどの和風生活、和風トイレなどが不便になり、歩行困難、夜中のうずきなど、膝の障害は大変な生活の不自由さを来たします。
 こういう場合、初期にしっかりと膝の痛む理由を理解し正しい対策をとると、大事に至らずに早期に治る訳ですが、間違った対策をとると延々と長期にわたって、炎症と痛みが慢性化し次第に悪化して行きます。そして最悪の場合は、障害者か人工関節ということになります。
 膝の関節症は、50歳以上の女性で肥満で脚の筋力低下(特に大腿四頭筋)のある方がなりやすい。そして若いとき、激しい運動をして一度壊したことのある人は、ゆっくりと膝の変形が進んでゆきます。
 日本人の場合は膝の内側がすり減ってO脚になりやすい傾向があります。また一定の変形のある人がもっと丈夫にしようと多少の痛みを我慢して、熱心に運動すると100%悪化します。特にいけない動作はスクワット運動(立った位置からしゃがむように腰を落とす)と階段の昇降ですが、しばしばリハビリと称して、専門家がスクワットや膝の屈伸などの筋トレを指示することがありますので気をつけてください。そしてあくまでも「痛む動作はしない」の原則を守り通すことです。どちらが正しいかは、どちらが軽快するかで自ずと証明されます。

 重要なリハビリ開始のタ イミングとその方法
 痛みが出たのは筋力低下が原因だから、筋肉トレーニングをしなければと思い、悪い最中に痛みを我慢してリハビリを始める専門家や患者さんがいますが、こういう場合ほとんどの人が悪化するか長引きます。あくまでも安静にして痛みがなくなってからリハビリをやるのが順序です。
 しかしリハビリテーションと言う学問の中には、まるで「安静」と言う項目が無いかの如く、専門家が動かしたがるのは不思議です。また、リハビリを始めるにあたり、今日やっと痛みがとれたので明日からすぐリハビリ開始、というのは止めましょう。さらに、1〜2週間くらい安静を続けて、恒常的に全く痛まない状態が安定して続く様になってから始めましょう、なおかつ決して痛みをぶり返さない範囲内の運動強度と運動量に留めます。リハビリを成功させるコツは決して回復を急がないことです。
(以下次号に続く)

フロントページへ このページのトップへ


主張 高齢者の矜持(きょうじ)
稲毛新聞論説委員 今村敏昭
 年末年始の会合でよく聞かれた。「今村さん、いくつだ?」「3月で62歳ですよ」「若い、若い、はなたれ小僧だな(笑)」。
 高齢者の末席に仲間入りしたつもりが、先輩高齢者からすると私はまだ若者に属するらしく、仲間に入れてもらえない。けなされているようで、実は心温まる思いがした。
 高齢者は、若者の経験がある。子育ての難しさや、生活の厳しさを乗り越えてきた人も多いから、子育て支援の必要性が理解できる。だから、高齢者対策の費用が削減されても文句は出ない。みんな我慢する。
 子育て支援に重点予算があてられても、若い労働力に支えてもらわなければならないからと、受け入れる。高齢者に直接関係のないオリンピックに巨費が投じられても異を唱えない。優しい高齢者ばかりだ。
 高齢者ばかりになるこれから、高齢者施策ばかりに費用をかけると、国も地方も財政が成り立たなくなることが分かっているから、いつのまにか声高に高齢者施策を主張する者がいなくなってしまった。
 確実に若い労働力の減少が見込まれ、このままでは我が国の経済が破綻しかねない危機は、外国人労働者を急いで受け入れなければならないほど切迫している。これは今の高齢者だけの問題ではない。ほんの数十年先に高齢者になる、今の若者の課題だ。
 だが、肝心の若者には高齢者になった経験がないから、高齢者になって何がつらいかは、わかるべくもなかろう。だから、高齢者は声を上げなければならない。 何を改善するか、どうして欲しいか、示さなければならない。自分自身のために、そして何よりも次世代の高齢者のために。
 年金減額や支給年齢の引き上げは法律さえ改正すれば済むが、将来の年金支給を約束して保険料を徴収したはずなのに、土壇場で約束を反故にするようなことを民間がやれば、詐欺に問われかねないだろう。やむを得ない措置だとは言え、高齢者は何も言わない。それだけ重大なことなのに、政府が、国会が、真剣に議論していることが伝わってこない。テレビはいつも与野党間の足の引っ張り合いばかり報じる。
 大臣が何かやらかそうが、野党の追及が生ぬるかろうが、そんなことはどうでもいい、もっと大事なことがあるはずだ。高齢者が直面するのは健康問題だ。 医療費の抑制ばかりが話題になるが、介護タクシーの充実は重要事項の一つだ。足腰の弱った高齢者がいつでも外出できるように、運送事業者と提携するのも必要だ。高齢者になってみないと考えが及ばないことはほかにも多い。それを次世代に伝えていかなければならない。
 若い世代を通り過ぎ、高齢者世代の入り口に到達したばかりの世代の責任は重い。物言わぬ先輩高齢者をおもんばかり、それを若い世代に伝える重要な役目がある。なにも今の高齢者のためだけではない。なにより、今の若者が次の高齢者になったときのために必要だからだ。はなたれ小僧のうちに、何かひとつでもやり遂げなければならないと思う。

フロントページへ このページのトップへ


「きさってぃ」の自転車コーナー オリンピックをかけた戦いが始まりました
自転車競技トラック中距離選手
日本写真判定株式会社 中村 妃智
 今回はワールドカップがおこなわれたドイツのベルリンの様子をお伝えしたいと思います。
 今回ワールドカップがおこなわれたベルリンの競技場はなんと地下型。一見何の施設か分かりませんが地下に降りるとスイミングプールにバスケットコートの体育館、そして自転車競技場が並んでいます。
 駅からも近く歩いて数分でした。そしてこの駅から電車に乗ること10分、かの有名なベルリンの壁に到着!
 ベルリンの壁は東ドイツ市民が西ドイツに脱出するのを防ぐための壁で、1961年〜1989年までドイツを東西に分裂していた壁です。
 この壁は監視塔と銃座、地雷に守られた有刺鉄線付きのコンクリート壁(最大5m)で長さは165qにも及ぶそうです。とても歴史があるようで実は最近の出来事。なんと私が生まれる4年前の出来事でした。
 今回は競技場から近かったこともあり、競技終了後に壁へ行くことが出来ました。実際に行ってみるとこれがかの有名な壁?と思ってしまうほど街に溶け込みアーティスティックな壁でした。この壁はイーストサイドギャラリーというオープンギャラリーとして開放されています。
 21か国118名ものアーティストによって書かれているそうですよ。

フロントページへ このページのトップへ


市民ガイド
千葉市美術館
ブラティスラヴア世界絵本原画展。BIBで出会う絵本のいま2年に一度、奇数年の秋にスロバキア共和国の首都で開催される「ブラティスラヴァ世界絵本原画展(BIB)」。本展では26回目の開催となるBIB2017からグランプリをはじめとする受賞作品および日本からの出品作品を中
心に紹介▼会期・2019年1月20日(日)〜3月3日(日)▼入館料・大人1,000円(800円)大学生700円(560円)カッコ内は団体
及び65歳以上の方の料金、小中高生、障害者手帳をお持ちの方と介護者1名は無料▼お問い合わせTel043-221-2311
千葉のむかし話
こども語りべ〜語り継ごう千葉〜▼日時・1月14日(月・祝)(1)午前の部10時〜12時(予定)(2)午後の部14時〜16時(予定)▼会場・青葉の森公園芸術文化ホール*入場無料・年齢制限なし★「千葉のむかし話講座」「こども語りべ講座」受講生による語りの会。小学生から大人まで総勢26名が語り継ぎます。講師・ひがき順子さんも特別出演★語り・語り読み演目・円照寺の白蛇、おどけ鬼の子、片端梅の伝説、かぶだれ餅、証城寺のタヌキばやし、多三とたぬき、千葉笑い、羽衣の松、他▼Tel043-266-3511
千葉芸術文化塾
千葉芸術文化塾とは芸術・文化を身近に感じ親しんでもらい、知識を深めて頂けるよう一年度(4月〜翌年3月)を前期・中期・後期の三期の課程に分け、各界のスペシャリストである大学教授やアーティストを講師に招き、全3〜6回の講義を行っています。中期・後期からのご受講も大丈夫です。受講料8,000円(全5回分)受講にはチケットの事前購入が必要です。▼時間14時〜16時▼会場千葉市文化センター6階第1スタジオ
後期課程受講生募集の案内
第1回、1月23日(水)「歌を聴くこと・歌うことの魅力」講師:尾形晃子(ソプラノ)。第2回、1月30日(水)「シャンソンの魅力」講師:松戸智恵子(シャンソン)。第3回、2月6日(水)「チャイコフスキーの魅力」講師:宮川正雪(ヴアイオリン・東京フィル首席奏者)。第4回、2月13日(水)「コントラバスの魅力」講師:小宮正寛(コントラバス)。第5回、2月27日(水)「ジャズの魅力」講師:大原保人(ピアノ)▼お問い合わせ公益財団法人千葉市文化振興財団電話043-221-2411
千葉手作り甲冑・匠の会
紙と布と紐で作るリアルな甲冑。作る喜び、飾る喜び、そして着る喜びを味わってみませんか。千葉手づくり甲冑匠の会(代表・拜野初枝)では日本の歴史文化を次の世代に伝えたいと甲冑づくり教室を開催しています。
いくさ支度を美しく飾るのは日本独特の文化です。▼会場・蘇我コミュニティセンター▼日時・第2〜第4木曜日17時40分〜20時40分▼月謝月3回4,500円。見学歓迎、甲冑三領を展示しています。なお作品が完成できるまで最低6ヶ月は必要です▼問い合わせ・Tel043-295-1267(千葉手作り甲冑匠の会)
西村悟&&平野和デュオリサイタルプレミアム・クラシック・シリーズVOL.33
▼会場・千葉県文化会館大ホール▼日時・2月3日(日)14時開演▼入場料・全席指定4,500円、学生3,500(税込)*託児サービスあり(有料・要予約)★出演・西村悟(テノール)平野和(バス・バリトン)★ピアノ・河原忠之▼お問い合わせはTel043-222-02012(千葉県文化会館)
ギャラリー古島
「深川芳子更紗・裂織・刺子の世界」1月11日(金)〜1月21日(月)*1月17日(木)休廊「ユーラシアの民の手仕事展」1月25日(金)〜2月4日(月)*1月31日(休廊)▼TEL043-243-3313(JR西千葉駅西友側徒歩1分)
多田屋稲毛店1月のお話会
1月のお話会(絵本の読み聞かせ・手遊び・紙芝居)は1月11日(第2金曜日)11時からとなります。なお2月のお話会は2月8日(第2金曜日)となります。★書籍・雑誌のご用命は多田屋稲毛店へ。
Tポイントがご利用になれます。ご自分で探索出来るタブレット設置しました。
お問い合わせは電話043-253-8145

フロントページへ このページのトップへ


今月の人
お名前・肩書き等をここに貼り付けます
神輿にかける情熱、55年超!
 千葉市中央区の道場で牛乳販売店を営む両親の元に生まれた木さん、子どものころ、妙見大祭のお神輿が毎年町内にやって来るのを見て、神輿を担ぐ「男」にあこがれことが縁で、毎年、担ぐようになったという。
 22歳の時、担ぎ手不足から神輿を出せなかったことがあり、これじゃいけないと仲間とともに千葉神社祭禮保存会に参加したことが契機となり、本格的な神輿をめぐる活動がはじまった。27歳の時には千葉神社祭禮保存会の副会長となり、52歳まで現役をはったつわもので、千葉の神輿を知りつくしている人物だ。いまも現役だ。40年以上前に立ち上げた「極楽蜻蛉」というお神輿の同好会は、千葉市を美しくする会からの要請を受けて、「親子三代夏祭り」に欠かせないお神輿を、毎年出している。会員数は40名ではあるものの、他の団体と協力して総勢200名で「虎神輿」を繰り出し、祭りの盛り上げに一役買っている。
 木さんは、神輿は担ぐよりも保存が大事だという。1年間しまいっぱなしにすると、担ぐ部分の木の部分が湿気でゆがむことがあるし、雨に濡れないように、ほこりを被らないように、気を遣うことばかりだ。「極楽蜻蛉」は千葉市内の神社の祭礼だけでなく、他市や江戸にも遠征するという。
 「東京」とは言わずに「江戸」と言うあたりは、粋人の心意気が感じられてなんだかうれしい。
 銀座鐵砲洲稲荷神社、神田明神、三社祭、鳥越神社、深川富岡八幡宮など、年に20か所以上回るというから、祭り好き、神輿ファンにはたまらないはずだ。
 千葉県レベルだと55年以上続く神輿同好会があるものの、千葉市内ではこの「極楽蜻蛉」が40年以上続いていて、どうやら最長だという。木さんは「極楽蜻蛉」の二代目会長を22年務め、現在は顧問として活躍している。
 連絡先は千葉駅西口徒歩2分のところで木さんが一人で切り盛りしているスナック「モグ」で、18時から営業している。お祭りやお神輿の話になると止まらなくなる木さんに会ってみるのも一興だとおすすめしたい。
千葉市中央区新千葉2-5-14ニュー芳野ビルB1F。
電話043-246-6964     【取材・今村敏昭】

フロントページへ このページのトップへ


随筆 ああ、バーバリー
 玄関に活けた水ばんの中の万年青が美しい朱色を見せている。新しい年がやってきた。
 元旦の朝私は、まず神棚と庭にあるお稲荷さんに両手を合わせる。それから千葉護国神社に参拝する。
 儀ちゃんが生きているころは、ずっとそうしていたので、これだけは私がやらなければと心に誓っている。
 今年も出かけようと、オーバーを出すため、クローゼットを開く。するとバーバリーのコートが目に入る。
 あぁ、このコートは、何回着たかなぁと思いながら、儀ちゃんの顔を思い浮べたのだった。あれは結婚して、何年かが過ぎたころだった。
 儀ちゃんが、イギリスに出張することになった。私は「お父さん、お土産にバーバーリーのコート買ってきて」とねだった。
 「買い物なんて、面倒くさい。仕事で行くんだ、そんな暇はない。」
 つれない返事をする彼に、「お願い、買ってきてよ、ちゃんと留守番するからさ、お願いだから。」と私はくいさがった。
 「そんなに欲しいのか?」と聞いた儀ちゃんに、私は「欲しいー」と叫んだ。
 「仕方ない、じゃ、買ってくるか。」
 儀ちゃんは、そう言ってイギリスに出発した。
 私は指折り数えて儀ちゃんの帰りを待つというか、バーバリーのコートの到着を待ったというほうが正しいのかな?そんな私の気持ちにも気が付かない儀ちゃんは、「やっぱり畳はいいなぁ〜」なんて言いながら、ゆっくりお茶を飲んでいる。
 私はしびれをこらし、「お父さん、おみやげのコートは?」と催促した。
 「おお、すごいの買ってきてやったぞ。大分無理したけどな。」と言いながら、荷物をほどき、コートを渡してくれた。
 「嬉しい。」私はコートを抱きしめる。
 「早く着てみろ。」と儀ちゃんは言った。
 さっそくコートに手を通した。
 大きくて大きくて、手はすっぽり隠れてしまうし、裾も引きずる。
 「お父さん、身長も、体重も、サイズも書いて渡したのに、大きすぎるよ。」
 私は泣きそうな声を出した。
 「少しくらい大きくたっていいじゃないか。大は小を兼ねるのだ。」
 儀ちゃんの言葉に私は「そんなこと言ったって」と私は悲鳴を上げる。
 翌日、儀ちゃんは、「お母さん、さっそくコートを着て出かけろ。」とうるさい。着て集まりに仕方なく行った。
 「ヨーコちゃん、なにその恰好、コートのお化けみたい。」と皆が笑う。
 もう私は、これきりもう二度とこのコートは着て出られないなぁと、心の中でつぶやいた。
 それから、ずっとこのコートは、クローゼットで眠っている。
 儀ちゃん大切にするからね。着ないけど。 私は天国にむかって言った。

フロントページへ このページのトップへ


フロントページへ このページのトップへ


耳より情報へ
 □住まいの救急社 (株)マイケン
 □お肌の悩み 今こそ改善!
 □新年の女子会・ママ会にお薦め
 □口腔乾燥症(ドライマウス)
  地域新着情報へ  
 □建国記念の日を祝う千葉県民の集い
 □楽しい和の文化の集い
  その他のニュースへ  
 □論壇 成田市 上田真弓
 □「稲毛新聞」をお気に入りに登録する
  おすすめリンク