130,000部発行
2018年9月7日
通巻第264号
年間郵送購読料3,000円
発行責任者/佐藤 正成
発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
星霜録
連載シリーズ(11)
主張 今村敏昭
随筆
短編小説
「きさってぃ」
市民ガイド
今月の人
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星霜録
猛暑続きや災害・殺人事件など暗いニュースが多い中、今年の夏は本当にさわやかな感動したニュースがが二つあった▼一つは山口県周防大島町で3日間行方不明だった藤本理稀ちゃん(2歳)の捜索に加わり、無事に発見し救出することができた尾畠春夫さん(78歳)のことである。わざわざ大分県日出町から一人で軽ワゴン車で駆けつけ、無報酬のボランティア活動は大きな感動を与えた▼尾畠さんは日ごろから東日本大震災、熊本地震、西日本の豪雨被害でもボランティア活動を続けていたという。本当に素晴らしい行動で感動した▼もう一つは、第百回記念全国高校野球選手権大会で秋田県立金足農業高校が決勝戦まで進み、大阪桐蔭に負けはしたものの見事準優勝を遂げたことである▼雪国というハンディと公立の実業高校でありながら103年ぶりの決勝進出で金農旋風≠巻き起こしたのは、まさに快挙であった▼吉田輝星投手ただ一人で県大会を制し、甲子園では鹿児島実業、大垣日大、横浜を下し準々決勝で劇的なツーランスクイズで近江にサヨナラ勝ち。準決勝では強豪日大三校を一点差で破り決勝に進んで強豪の大阪桐蔭に負けたが、マスコミの大半は金農の健闘ぶりを讃えていた▼筆者も秋田県出身なのでテレビ観戦で大いに声援を送った。感動を与えてくれた金農に心からありがとうと感謝したい。 (正)
連載シリーズ(11) 間違いだらけの痛み対策
疼痛の心理学的特徴 都賀治療院 院長 藤 代 博
藤代 博先生
ひとが痛みを感じるとき、そこには純粋な知覚だけでなく、その人の感情や発生状況などが関係して複雑化してきます。
人格特性の中で、怖がり、心配症、不安の強いひとなどは本来の痛みより強めに訴え、逆に何らかの制御が出来るひとは、強い痛みにも耐えられるという傾向があります。そういう人は、痛みを減らすことが出来る我慢の訓練や思考回路を持っている人です。
つまり痛みの強さは個人差が大きく、しかも痛みに対する考え方、思い方で、ある程度自分で制御出来るということです。
例えば「この怪我はたいしたことはない。痛みも少ないし、次第に良くなっている」と強く思うことを繰り返していると、治りが早いという報告もあります。
従ってこの精神面は大いに利用すべきなのですが、実際にはあまり使われてはいません。
このスピリチュアルな領域は計り知れない力と可能性がありますので、積極的に右脳を開発して最大限に利用すべきです。
フランスの薬剤師でエミール・クーエ(1857〜1926年・自己 暗示法の創始者、暗示で奇跡的治療を行なう)という人が自己暗示法で患者の治りが良いと評判でした。
心の問題はまだまだ未開拓の分野ですが、現代人は物質文明の中で強靭な精神を置き忘れ、心身共に弱体化(痛みに対して過敏になっている)しているように思います。いずれ自律神経訓練法やヒーリングなどを用いた痛みの治療が一般的に行われる時代がくると思います。
一時、中国の針麻酔が日本でも使われたことがありましたが、うまくいかなくて、今ではあまり実施されておりません。中国では医学の世界にまで「偉大なる毛主席の指導により」という毛沢東語録による暗示効果が使われています。麻酔の前に30分位説得して、それによる暗示にかかりやすいひとにだけ実施して成功する訳ですが、この例は痛みが人格や感情、イデオロギー、宗教などの影響を大きく受ける典型的な例です。痛みがあるということは精神面からくるものを除けば、現在進行形で組織の損傷があるか、あるいはその時の障害で遊離された化学物質(ヒスタミン、ブラジキニン、プロスタグランジン、ロイコトルエン、サブスタンスP)などによって引き起こされている可能性があります。従って痛みを治すためには、仕事や生活習慣などを工夫して、損傷部位を治らないうちに刺激しないことと、発生した化学物質を治療ですみやかに、腎臓から排泄させれば最短時間で治ります。また長引いている痛みは、日常の中で痛みを頻繁に出している訳ですが、痛みを伴う動作や姿勢はその都度に傷口をあらためて傷めなおしている訳です。
中にはリハビリと称して、わざわざ痛みを伴う運動をして、その部位を再受傷させ、悪化や、長引かしている場合も多々見受けられます。人間は、完全な本能での判断より不完全な大脳の判断を優先するからです。 わたしたち人類は大脳が発達したことがあだになり、間違っていることが沢山あります。自然界の動物は自然の環境にいる限り、本能はほぼ完全な判断が出来ます。ところがその動物も人間社会に来ると自然界とはルールが違いますから、本能では対応出来ないことが出て来ます。
例えば、車にひかれたり、鉄砲で撃たれたり、わなをしかけられたり、毒を食べたりして捕まってしまうのです。
気圧の変動で
痛みの閾値が変わる
特に慢性化した痛みは昔から天気を見ると言われますが、高気圧から低気圧に急激に変わるその変わり目で痛みが強くなったり、今までなかった痛みが出現したりすることを私たちは経験しています。
痛みには閾値というものがあり一定の大きさになると、初めて拾い上げるという法則があります。その基準は障害が発生するか、命に問題が起きそうかどうかで、その刺激を拾い上げるかどうかが決まります。
たとえば刺激の大きさが5という量で初めて痛みとして拾い上げていたものが、低気圧下では3ぐらいで拾い上げてしまうということが起きます。これは感受性が高まる訳ですが、例えば私たちはしばしば、古傷が痛むから明日は雨だと判断したりします。今のところそれにどういう意味があるかは分かりません。ドイツでは気圧と病気発生に因果関係があるので、救急車の待機台数と人員を気圧の状態に連動させて配置しているそうです。そしてニュースなどの天気予報で必ず気圧も報道するのが定番だそうです。さすがは合理主義の国だけあります。(以下次号に続く)
主張 沖縄県知事選挙
稲毛新聞論説委員 今村敏昭
「西郷どん」を観て、ふと、思った。私の母は完全に琉球の人で、旧姓は比嘉。鹿児島の大店の若旦那が琉球に行って生まれたのが父だと、父から聞いたことがある。
母方の叔父からは「お前の本当の爺さんは寄留商人(他府県から沖縄にやってきた商人)だった」と聞いたことがあった。
父の母を鹿児島に連れ帰ったものの、「琉球の女なんか」と、何がしかのお金を持たされて帰されたという話を、生前の父から聞いたことがある。結局父はよそに出されたらしく、そこが「今村」だった。
私が幼いころ同居していた父の母は、その琉球の人ではない。その琉球の女性の死に目に会わせてもらえなかったこと以外、父は生涯祖先のことをまったく話さなかった。上手に聞き出しておくべきだった。それも、親孝行だったかもしれないと思う。父方の親戚は一軒あるが、血縁のある本当の親戚が、どこかにいるのだろうと思う。
翁長雄志知事の急逝で、宜野湾市の米軍普天間基地の名護市辺野古への移設問題が風雲急を告げている。移設推進派は基地がなくなってほしい宜野湾市の前市長を擁立し、反対派は翁長前知事が後継候補に指名した衆議院議員を担ぐことに決めた。
基地のすぐそばに学校や住宅があり、戦闘機やオスプレイの事故が続いている危険を早急に取り除きたい宜野湾市民にすれば、とにかく基地が普天間からなくなるのが第一であるから、県外移設ができないのなら、県内移設も手段の一つかもしれない。
沖縄に米軍基地が存在する必要がないという立場からは、危険な普天間基地を撤去すればいいのであって、辺野古への移設は基地の移設ではなく危険の移設にすぎないともいう。
どちらも正しい沖縄の民意だから、正解を導き出すのは困難だ。沖縄の悲劇は、沖縄が国際情勢に重要なポイントに位置していることだ。
沖縄が沖縄の意思によって沖縄のことを決めるのを困難にしている事情はここにある。日米安保体制を堅持する政府の立場では、いかに沖縄が反対しようとも基地の存在はやむを得ないだろうし、逆に、政府がどんなに沖縄支援策を講じようとダメなものはダメで、受け入れられないだろう。
そこに本土から、双方ともに応援勢力が入り込んできて、声高に相手方を非難だけする。ますます混乱に拍車がかかる事態を招いているから、合意の可能性はないように思えるが、実は違う。
推進派にも反対派にも共通する思いがあることを忘れてはならない。それは、「沖縄から基地がなくなってほしいとの思い」だ。
その思いが共通している限り、問題は辺野古への移設を当面の策として認めるか否かに集約されてくる。「とにかく移設!」いや、「絶対反対」と、互いを否定し、非難しあうだけでは解決できないばかりか、沖縄の基地問題に便乗して大きな政治問題にしようとする侵入勢力を利するだけだ。国際情勢を錦の御旗に掲げるだけでは沖縄にとっては理不尽であり、安全保障が揺らげば、真っ先に沖縄が危なくなる見込みもある。 沖縄から遠く離れた本土での議論は、本当の沖縄の人々だけの意見を見失わないことが重要だと思う。
今月30日に沖縄の民意が示される。強い関心を持って、見守りたい。
短編小説 モノレールストーリー
初秋の光と風 作・吉成 庸子
美奈子の故郷は金沢だ。地元の女子大に通っていた頃、兼六園で催されたお茶会に美奈子もお手伝いに出た。
金澤はお茶が盛んで女の子はほとんどと言っていい位、おけいこに通っていた。両親は美奈子がお茶をたてる役に選ばれたと聞くと大喜び。おまけに大奮発して美しい和服一式あつらえてくれた。
「お見合いじゃあるまいし」美奈子がそう言うと、「たくさんの方がみえるのよ。どんな方に見初められるかわからないじゃない」と、母がまともな顔で言ったので美奈子はビックリだった。
当日は初秋の空が美しく、吹きつけてくる風も十分に秋の香りを感じさせていた。緋毛氈の上に座り、美奈子は一生懸命にお茶をたてた。
どのくらいたっただろうか…やっと列がとだえた。ほっと一息ついたところへ「僕にも頂かせて下さいますか?」という涼やかな声が聞こえてきた。思わず顔を上げると目の前に若い男性が一人正座していた。
美奈子は驚きながらも心を込めてお茶をたてて、その男性の前に茶わんを置いた。作法通りにお茶を飲み干した後「けっこうなお点前でした」と彼は礼をのべてから立ち上がった。
「アノー」美奈子は自分でも気づかないうちに立上がっていた。「お茶お好きなんですか?」美奈子は思い切って聞いた。
「ウン、僕さ大学の時茶道部にいたんだよ。男は僕一人だったけど」彼はニッコリ笑って美奈子に言った。
そんな出会いの二人だったが、現在じゃ結婚して三年目を迎えている。
サラリーマンの彼は出張も多く忙しいらしい。だが優しいし穏やかな人柄なのでまわりの人から美奈ちゃんはいい人をつかんだと言われ、本人も私は幸せだなあと思っている。美奈子は子どもが出来るまでという約束でパートに出ている。二人がゆっくり会えるのは日曜日が多い。
どこに行こうかと相談しあうが話し合いの結果二人の向かう先はモノレールとなる。
彼がものすごいモノレールファンなのだ。彼の子供の頃から、モノレールが千葉の空の上を走りだしたらしい。父や母にねだってモノレールに何度も乗せてもらったそうだ。本当に楽しくて、子どもの頃の一番の思い出となっているという。繰り返しそんな話をする彼の隣りで、モノレールに乗っていると、嬉しくて、美奈子は早く子どもが出来たらなあと思う。
「そんなに早くなんて思わなくていいよ。子どもはさずかりものだからさ」なんて彼は古くさい言い方をする。今日も二人でモノレールに乗って貴重な休日を過ごしている。
そんな二人に初秋の風が優しく吹いていく。
「きさってぃ」の自転車コーナー アジア選手権大会で金メダル(4)
自転車競技トラック中距離選手
日本写真判定株式会社 中村 妃智
中村妃智さん
皆さんこんにちはー。きさってぃーの自転車コーナーです。
今回は4年に一度おこなわれるアジアの祭典アジア大会での様子をお伝えしたいと思います。今年はインドネシアのジャカルタにてアジア大会がおこなわれています。このアジア大会はオリンピックのアジア版ということもあり、選手村もあり、服も全て公式のユニフォームで統一されています。
勿論全ての競技の選手が同じ選手村で生活するので様々な国・種目の選手が多く集まります。ちなみに私たち自転車競技トラックチームは陸上の選手と行きの飛行機が同じでした。
さて、ジャカルタですが気候は日本と似ているように思います。蒸し暑いです。交通状況は3車線のところに4台並んでいることもあり、インドに似ています。
そして貧富の差が大きいように感じました。バスに乗って外の景色を眺めているとよくわかります。
住宅街のように区画がはっきりしており屋根もちゃんとあるかと思いきや、ガラリと雰囲気が変わり緑色の河にゴミが大量に浮いている地域、線路に洗濯物が干してあったり・・・この状況をみるとここでアジア大会が開催されると思わないと思います。
選手村をはじめ各競技の競技場を建設しこのアジア大会を開催までに至ったこの国の努力は素晴らしいものだと思います。敬意を表し、最後まで全力で勝負したいと思います!
市民ガイド
ちば越中おわらの夕べ
▼日時・9月8日(土)17時〜20時千葉市中央公園(小雨決行)
風の盆で有名な越中おわら節の会が一堂に集まり流し踊りと各教室のステージ発表。1部と2部の間にはどなたでも参加できる輪踊りがあり、越中おわら節、西馬音内盆踊り、花笠音頭、河内音頭、恋するフォーチュンクッキー、新五輪音頭、ダンシングヒーロー他楽しい曲沢山!是非お楽しみ下さい。連絡先おわらの夕べ実行委員会・ 080-6858-6307
千葉市美術館
「1968年激動の時代の芸術」
本展は、1968年からちょうど半世紀が経過した2018年の視点から、この興味深い時代の芸術状況を、現代美術を中心に回顧しようとする試みです。この時代の芸術を輪切りにして展観することで、新たに見えてくるものがあるのではないでしょうか。磯崎新、赤瀬川原平、高松次郎、0次元、横尾忠則、宇野亜喜良、寺山修司、唐十郎、シュウゾウ・アヅチ・ガリバー、土方巽、林静一、森山大道、関根伸夫ら個性的な顔ぶれが縦横無尽に活躍した時代の熱い雰囲気を、この展覧会で感じ取っていただければと思います。▼会期・9月19日(水)〜11月11日(日)▼開館時間・10時〜18時(日曜日〜木曜日)10時〜20時(金曜日・土曜日)*休館日・月曜(10月1日・11月5日)▼入館料一般・1,200円(960円) 大学生・700円(560円)小・中学生、高校生無料☆1968年割引…1968年生まれの方は観覧料500円※( )内は前売券、団体20名以上、千葉市内在住65歳以上の方の料金※障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料。※10月18日(木)は「市民の日」につき観覧料無料▼問い合わせ・千葉市美術館(千葉市中央区中央3-10-8)Tel043-221-2311
健康サロン・リーダー養成講座
「あなたも始められる いきいきシニアを作る」内容・体操をきっかけとした地域コミュニティづくり。リーダーに必要な3つのセクション(学科(1)健康サポート(2)コミュニケーションスキルアップ(3)サロン・トータルデザイン)を学びます▼第一期・1回目の日時・9月13日(木)12時30分〜15時▼第二期・1回目の日時・11月8日(木)▼テキスト代各セクション1000円・体操指導DVD1000円・各セクション単独の受講もできます。▼会場・美浜区ボランティアセンター活動室・美浜福祉センター2階(千葉市美浜区真砂5-15-2)▼お問い合わせ090--9340-2150(工藤)
http://kaiteki@-chiba.jp/kouza
メール:
cn.renkei@gmail.com
FAX:043-305-5414
スクエアダンス体験講座
軽快なポップスやカントリーのメロディーに合わせて8人の仲間と歩いて踊る、とっても楽しいウォーキングダンスです。▼日時・(無料体験会)9月26日(水)18:30〜20:40(初心者講習会)10月3日~2019年1月30日(水)受付は18時より会場で行います▼場所・千葉市コミュニティセンター5階美術視聴覚室(モノレール市役所駅前駅前直結)▼参加費・体験会・無料。初心者講習会・4千円(全17回)▼問合せ先・鶴間(電話&&FAX043-251-3434)
長沼コミニュティセンター
長沼ジャズコンサート2018秋▼日時・9月15日(土)14:00〜16:00▼演奏・社会人アマチュアバンド「スイングジャズオーケストラ」♪曲目・第一部pm2:00〜サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート、TILL、ベサメ・ムーチョ、ムーンライト・セレナーデ、キャラバン、KISS ME AGAIN 他(二部pm3:00〜)ダイアナ、慕情、ALL THE THINGS YOU ARE、キサス・キサス・キサス、ALL OF ME、STAR DUST、キエン・セラ 他▼定員174名(先着順)*入場無料▼会場・長沼コミュニティセンター多目的室
Tel043-257-6731
La Dillコンサート
カウンターテナーからバリトンまで4オクターブ珠玉のハーモニー▼日時・9月15日(土)開演14:00▼会場・青葉の森公園芸術文化ホール☆出演・彌勒忠史(カウンターテナー)岩田健志(バリトン)坂下忠弘(バリトン)金山京介(テノール)吉田貴至(ピアニスト)▼入場料・(全席指定)S席3,000円A席2,500円▼問い合わせ・青葉の森公園芸術文化ホール(千葉市中央区青葉町977-1Tel043-266-3511)
ギャラリー古島
「白亜会千葉支部展」(油絵)9月7日(金)〜9月11日(火) 「飯塚亜裕子・村山耕二ガラス展」-パート・ド・ベールとブローイング-9月14日(金)9月24日(月)*9月20日休廊「米山清人京友禅の匠染織展」9月28日(金)〜10月2日(火)▼ギャラリー古島Tel043-243-3313
多田屋稲毛店9月のお話会
9月のお話会(読み聞かせ会)は9月21日(第3金曜日)となります☆書籍、雑誌のご用命は多田屋稲毛店へ。ご自分で検索出来るタブレット設置しました。*Tポイントカード利用可能。電話043-253-8145
今月の人
出雲大社函館教会千葉総國講社
大世話人 小川 寿恵さん (66歳)
悲願!千葉市に出雲大社建立に尽力
函館出身の小川さんの実家は宗教法人出雲大社函館教会。島根県出雲市の宗教法人出雲大社教本部から正式な認証を受けて、小川さんの実父が函館に講社を開いたのが始まり。 生まれた時から出雲大社一辺倒だった小川さんは子供の頃から真の宗教活動の隅々まで目にしてきた。誰もが知る出雲大社という大きな名前を戴いても、父親が人知れず苦労していたことをはっきりと覚えているという。しかし、それは訪れる人々に御利益となって返っていくものだからと苦にしなかったという。
小川さんは30代のときに千葉市に縁を得たが以来、千葉の地で様々な活動を続けている。飲食店経営のかたわら、かつて全国有数の繁華街だった「蓮池」(現在の中央2丁目から4丁目付近)地区の再興にかかる活動は、市や県の後援を得て、毎回盛大に開催されている。千葉氏に関する研究や活動にも余念がない。親子三代夏祭りのほか、中央公園での催しには損得を顧みず協力している。
東日本大震災の後には、少しでも被災者を励ましたいと、協力者とともに福島県の仮設住宅を訪れ、そば打ちを実演してふるまったりしたことは一回限りではない。
慰問に訪れた南相馬市は、千葉氏の流れをくむ相馬氏が、現在の千葉県から福島県に居を移して治めたことが縁で相馬という地名になったというから、念が入っている。
そんな多くの活動を続ける中でも、決して小川さんの心の中から出雲大社が消えることはなかった。出雲大社に密接に関わる者としての気概はいささかも衰えることはなかった。それどころか、ますます思いが募るばかりだ。中央区道場北の自宅の3階が神聖なお社になっている。どこから見ても神社そのものだ。そこでは当然、出雲大社の正式な一員としての神事が続けられている。現在は出雲大社本部のお許しを得て、正式に出雲大社の御分霊御鎮座の栄をいただいた。
千葉で地道に続けてきた活動の結果、実家である出雲大社函館教会の宮司の大きな支えのおかげで昨年、「講社」として正式に発足した。
いずれは独立した「教会」になることを目標としているが、そのためには教会の下で「講社」としての活動を積まなければならない。そこに講社の正式名称が「出雲大社函館教会千葉総国講社」であることの由縁がある。すでに若葉区東寺山町に用地を取得し、御社の建立に着手しているという。来年には本殿が完工予定であるのをはじめ、3年後をめどに施設全体が完成する見込みだという。 そうなれば、千葉県における出雲大社信仰がより身近になるのに間違いはない。多くの人々が参拝を通して御利益にあずかれるのは幸いだ。出雲大社の御祭神である大国主大神との御神縁によるご加護が千葉の人々にもっと広まってほしいとの小川さんの願いと活動に、敬意を表したいと思う。 【取材・今村敏昭】
随筆 キャッチボール
夕刊を取りに庭に出る。立ち上がって空を見上げた。すみれ色の空のかなたに薄く白い雲がたなびいている。なんだか清々しい気分になって私はしばし空を見上げ続けていた。その時いきなり門の扉が開き儀ちゃんが帰って来た。
「あら珍しい。今日は定時帰宅なのね」私はそう話しかけながらカバンを受け取り儀ちゃんの後から玄関を入った。着替えをバッと済ませると儀ちゃんは「お母さんも早く動きやすい服に着替えなさい。スラックスでもいいし、なかったら俺の嫌いなジャージでもいい」「なんで着替えんのよォー?」不思議に思って聞いた。
すると儀ちゃんは姿勢を正して「明日、俺が始球式をやることになったんだ。今から練習をする。お母さんもたしか中学の時ソフトやっていたと言ってたな。受け位出来るだろう」「ソフトボールやってたって言ったってほんの少しよ。受けなんて出来ないよ」。
「グズグズ言うなー。上官の命令にはすぐ従え」「またそんなこと言う。私はお父さんの部下じゃないです。女房です」そんな文句を言いながらも、私は仕方なく庭に出た。
儀ちゃんがグローブを渡してくれた。第一球を儀ちゃんが投げてくる。やや高い球、しかも右に大巾にそれた。私は必死にジャンプして球をしっかりと取った。二球目はど真ん中にきたが私には取れなかった。「下手ッピー」儀ちゃんの罵声が飛んでくる。その後も高い球や低すぎる球、たくさん投げて来た。 私は夢中になり球を追いかけたが、正直グローブにおさめられた球は半分位だったかな?
儀ちゃんは怒って「何をやらせてもダメな女房だ。こんな練習したら俺の調子が狂っちまう。ヤメだヤメだ」と言ってさっさと家へ入ってしまった。
私はホッとしていた。そして心の中で「私も下手だけどさ、儀ちゃんのコントロールもすごく悪かったよ」としっかりつぶやいてから、家の中へ入った。そしてすぐに夕食の支度にかかる。そうだ、天ぷらにしょう。明日のためにもいいだろうと私はありったけの野菜を揚げた。
冷凍海老が四本あったのでそれも天ぷらにした。かきあげも作った。
テーブルの上いっぱい、いろんなネタの天ぷらが並んだ。儀ちゃんは食卓につくなり「何で一度にこんなに作る。俺は馬じゃないんだぞー」と怒鳴る。
「いろんな材料で作っているうちにこうなっちゃったのよ」私は言い訳をしながら、馬だったらヒヒーンと一声鳴く位で、いろいろ文句を言わないだろう「馬のほうがお父さんよりずっとお利口さんじゃないかしら?」と言ってやりたいのをグッとこらえた。その後私は冷やしておいた白ワインをグラスに注ぎ「お父さん、じゃ乾杯しましょ」と言った。
「何のための乾杯だ?」儀ちゃんの問いかけに私はニッコリ笑って「決まってるじゃない。わが家の平和のためによ」「そりゃ無理な話だ。わが家は俺の忍耐の上に成り立っている平和なのだから」「それって、それって、反対じゃないの」言いたいのをグッとこらえた私。
いろんなこと思い出しながら、今夜私一人で空にむかってカンパイと言いながら白ワイン飲んでるんだ。
□漏った・詰った・壊れたから新築まで
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