150,000部発行
2016年9月9日
通巻第240号
年間郵送購読料3,000円
発行責任者/佐藤 正成
発行/(有)稲毛新聞社 〒263-0043千葉市稲毛区小仲台2-5-2 TEL043-256-4414(代)FAX043-256-4494
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読者論壇 台湾の李登輝元総統のお話
成田市 上田 真弓
私は台湾との交流を続けているが、きっかけは李登輝氏が書かれた『台湾の主張』を読んだことだ。
当時は現役の総統で、世の中にはこんな素晴らしい人物がいるのかと驚き、これほど日本を愛してくれている李登輝氏の思いに感動した。
政治家として、人間として、22歳まで日本人であった台湾人として、クリスチャンとして、こんなに尊敬できる人物がいることを知って感激し、他の著書も読んで尊敬の念を深めた。ぜひ一度お会いしたいと思っていたところ、現役を退いた後の2003年に産経新聞社が李登輝氏にお会いするツアーを企画したので、迷わず参加した。
李登輝氏の姿を見ただけで感激したが、お話を聴いて、からだが震えるほど感動した。
「私は台湾の総統にまでなりましたが、私の上には常に神様がいます。人間はどんなに偉くなっても神にはなれません」「奥の細道を歩くことが私の夢なんです。日本の文化や俳句について本を書きたいと思っています。日本語で書いて、それを中国語や英語にも翻訳して、日本を世界に広めたいんです」
これほど日本を愛している人に出会ったのは初めてで、私たちよりも日本のことをよく知っていた。
私は産経新聞が企画するツアーに連続5回参加して李登輝氏のお話を聴いた。
「上田さんは千葉県から来たんですね。私は昭和20年3月10日未明の東京大空襲の時、千葉の稲毛の高射砲部隊にいたんだ。出動命令が出て東京に移動してB29に高射砲を撃ったんだけど、弾が届かないんだ。それまでのアメリカ軍の飛行機はもっと低いところを飛んでいたから弾が届いたんだが、最新鋭機のB29は高度1万メートルを飛ぶから高射砲が届かないんだ。日本とアメリカの技術の差を目の当たりにして悔しかった。B29が落とす焼夷弾で、多くの人たちが死んでいくのを見たよ。本当に悔しかった。1999年に台湾で大地震が起きた時、私はすぐに軍隊に出動を命じて、私もすぐに現地に飛んで陣頭指揮を執った。東京大空襲の時の悲惨な光景が目に浮かんで、絶対にあんな状況にしてはならないと思ったんだ。被害をできるだけ抑えることができたのは、東京大空襲の経験があったからなんだよ」。
李登輝氏は真剣な眼差しで私に切々とお話をしてくださった。
私はこの貴重な経験に心から感謝した。
産経新聞の台北支局長の紹介で日本語世代の方々とも知り合い、貴重なお話をたくさん伺って、皆さんの日本を愛する熱い思いに心を動かされた。
読者の皆様も、高齢となった日本語世代の台湾の方々のお話が聴けるうちに、ぜひ台湾を訪れていただきたいと思っている。
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